2021年4月23日【Cu-Niハイブリッドインク】ACS Appl. Mater. Interfaces誌(アメリカ化学会)に論文アクセプト

Daisuke Tomotoshi, Rika Oogami, Hideya Kawasaki*
Highly Conductive, Flexible, and Oxidation-Resistant Cu-Ni Electrodes Produced from Hybrid Inks at Low Temperatures
ACS Appl. Mater. Interfaces 2021,https://doi.org/10.1021/acsami.1c04235

低温焼結可能な銅ベースの導電性インクは、高分子フィルム等の熱に弱い基材をベースとするプリンテッドエレクトロニクスにおける電子材料としての活用が期待されています。しかし、酸化の課題から活用が進んでいませんでした。近年、銅の酸化抑制のために銅とニッケルを複合化した導電性インクの優れた耐酸化特性が注目されています。他方、銅/ニッケル導電性インクは、焼結温度が300℃以上でないとて低抵抗値の導電膜が得られず、低温焼結は実現していませんでした。この課題に対し、当研究室では、150℃という低温で焼結可能な銅/ニッケル導電性インクの開発に初めて成功しました。これにより、熱に弱いPETフイルム上に塗布印刷による銅/ニッケル導電膜形成(10-5 Ωcmオーダ)が可能となりました。この銅/ニッケル導電膜は、大気下400℃や高温高湿(80℃80%、一週間暴露)においても酸化が抑制されるという、これまでにない高い耐酸化性を見出しました。今回開発した銅/ニッケル導電性インクは、銅の酸化の課題を解決し、プリンテッドエレクトロニクスによるIoTセンサーの回路形成材料などの電子材料としての活用が期待できます。