2021年3月24日【光増感性 タンパク質 ナノ粒子】 ACS Omega誌(アメリカ化学会)に論文アクセプト

I. Okamoto, H. Miyaji, S. Miyata, K. Shitomi, T. Sugaya, N. Ushijima, T. Akasaka, S. Enya, S. Saita, and H. Kawasaki. Antibacterial and Antibiofilm Photodynamic Activities of Lysozyme-Au Nanoclusters/Rose Bengal Conjugates
ACS Omega, 2021,https://doi.org/10.1021/acsomega.1c00838

本論文は,同誌のACS LiveSlidesの掲載対象に選ばれました.近く,動画配信により公開されます.

本研究では,抗菌性を有するリゾチーム(Lyz),2種類の光増感剤:金クラスター(Au NCs)とローズベンガル(RB),を多元複合した「バイオフィルム除去と可視光殺菌能を有するタンパク質ナノ粒子(Lyz-Au NCs/RB)」を新規に開発しました

近年,歯周病が心臓疾患・脳血管疾患など全身に及ぼす影響が報告され,危惧されています.歯周病は、バイオフィルム細菌感染症であり,数百種類の細菌によって形成されています.このバイオフィルム形成により,薬剤が浸透しにくく,歯周病治療が困難であることが課題です.
  本研究で開発したLyz-Au NCs/RBは,白色光をあてることで殺菌効果をもつ活性酸素(一重項酸素)を高効率に生み出すだけでなく,バイオフィルム内の口内細菌においても,死滅できることを見出しました.他方,正常細胞には,毒性を示さす,高い安全性を実証しました.Lyz-Au NCs/RBは,歯周病の光治療のための有効な光増感剤としての利用が大いに期待されます.

本研究は,北海道大学病院歯周・歯内療法科 宮治 裕史先生の研究グループとの共同研究成果です.