研究の成果

主な著書 ・編著

  • 《研究の成果》

    森部豊『ソグド人の東方活動と東ユーラシア世界の歴史的展開』(関西大学出版部,2010年)

    唐と五代の時代の中国で活動したソグド人に焦点をあてて論じた専門書です。ベースは,2004年に筑波大学へ提出した学位請求論文ですが,内容構成上,大幅に書き改めた箇所があり,また学位取得後に発表した論考も含めています。対象としたソグド人は,モンゴル高原を経て中国へ移住したグループで,突厥の影響を受け,騎馬遊牧民化していました。彼らを「ソグド系突厥」と呼び,彼らが唐朝や五代の諸王朝で,政治的・軍事的にどのような役割を演じたのかを論じたものです。

  • 《研究の成果》

    森部豊『安禄山―「安史の乱」を起こしたソグド人』(山川出版社,2013年)

    唐朝に反旗を翻した安禄山を取り上げ,彼の事績を8世紀のユーラシア全体の動きの中で理解しようとした一般向けの本です。安禄山自身の伝記には,あまり触れず,むしろ安禄山という人間が生み出された当時の時代背景と,彼が引き起こした「反乱」というものを8世紀のユーラシア全体の動きの中でとらえ,平易な日本語で描いてみました。ユーラシアの歴史に関心のある高校生,大学生にもおすすめできます。

  • 《研究の成果》

    森部豊(編)『ソグド人と東ユーラシアの文化交渉』(勉誠出版、2014年)

    日本において,ソグド人研究やその周辺領域の研究を専門とする14人の新進気鋭の研究者に集結していただき,各人の視点から総合的にソグド人の歴史的役割を描写してもらった概説書。ソグド人を多角的に知るためには便利だと思います。内容は,やや難しいかもしれません。講談社学術文庫として再刊された森安孝夫『シルクロードと唐帝国』(講談社,2016年)を読んでからのが理解しやすいと思います。

  • 《研究の成果》

    森部豊(編)『石刻史料を用いた唐朝の羈縻支配に関する基礎的研究』(私家版、2020年)

     2016年度から2019年度の科学研究費補助金・基盤研究(C)[JSPS16K03100]の研究成果報告書です。前篇・後篇からなり、前篇には、この研究期間に発表した拙稿5本を収録しています。後篇には、2019年10月23日に関西大学で開催した「中国王朝の「異民族」統治方法に関する問題と考察」と題する研究集会で発表された新津健一郎(東京大学大学院博士後期課程)、齊藤茂雄(大阪大学)、佐川英治(東京大学大学院)諸氏の論考などを収録しています。

  • 《研究成果》

    「隋・唐帝国と「宗教」―東ユーラシアから問いかけるー」『日本宗教史2・世界のなかの日本宗教』(吉川弘文館、2021年3月)

     ようやく出ました。脱稿したのは2016年に在外研究でパリに滞在していた時。その後、編集が遅れに遅れ、それに乗じて一部書き直しもし、ようやく生まれたものです。タイトルは「隋唐」としていますが、魏晋南北朝から唐までの宗教史を概観しています。先学の研究成果(特に東洋史系の宗教史の著作)を踏まえ、唐代に関しては最新の成果も取り込んでいます。ちなみに、本稿の内容にもとづき、2017年度から2020年度の専修関連科目「アジア社会史b」を講義しました。

  • 《研究成果》宮宅潔[編]『多民族社会の軍事統治―出土資料が語る中国古代』(京都大学学術出版会、2018年3月、396頁)と書評

    3年前の研究成果で、表記の書物に論文を書きました。これに対し、明治大学の高村武幸先生が書評を執筆され、今回、抜き刷りをお送りいただきました。高村先生、ありがとうございます。高村先生の専門は漢代史ですので、本書でも秦漢部分に対する評がメインとなっています。

    ちなみに、本書で私は、第12章に「唐前半期における羈縻州・蕃兵・軍制に関する覚書―営州を事例として」と題して論考を寄せています。

  • 《研究成果》陳寅恪『唐代政治史述論稿』「上篇 統治階級之氏族及其升降」訳注稿(1)

    陳寅恪の『唐代政治史述論稿』「上篇」の一部を訳注しました。陳寅恪の文章は読みにくく、また引用史料の正確な読みも難しいです。今回は、「上篇」のおよそ三分の一を訳出しました。唐皇室李氏の系譜を考証する部分です。残りは残りは2回に分け、今後発表していきます。訳注稿では、1947年に商務印書館から出版されたものを底本にして手写本との異同を注とし、訳稿を作成してみました。