こんな研究室

 《関西大学で歴史を学ぼうと考えている受験生のみなさんへ》こんにちは。森部豊研究室へようこそ。関西大学文学部では、日本史と世界史を学び、研究することができます。森部豊研究室は、関西大学文学部の世界史専修の中にあります。世界史専修には古代エジプト、ヨーロッパ、イスラームの歴史を専門に研究し教授されている先生がいます。その中で、僕の専門は、6世紀~10世紀にかけての中国とそのまわりの地域の歴史の研究です。この地域を「東ユーラシア世界」と呼んでいます。みなさんになじみのある言葉だと、隋、唐、突厥、契丹、ソグドなどがキーワードになります。中国だけではなく、そのまわりにある地域の歴史も学ぶことができます。

《どんな研究をしているの?》僕の研究は、唐とその前後の時代を対象とし、その時代に活動していた様々なエスニック集団を研究しています。たとえば、高校世界史でも出てくるソグド人の研究です。彼らは、シルクロード交易の商人として有名ですが、実は、唐やその前後の時代、政治や外交、あるいは軍事の分野でも活躍していました。彼らにスポットをあてて中国の歴史を見直すと、いままでの見方とは違う中国史像が浮かびあがってきます。また、最近では、唐朝が周辺のエスニック集団を支配する方法として有名な「羈縻支配」を見直すことをしています。こういった研究は、20世紀以降、中国で新たに発見された墓誌という新史料の分析を通じて行うのですが、そのため、毎年、中国へ実地調査に行っています。

遼寧省朝陽市博物館の墓誌陳列室(2020年現在は閉室)

《関西大学文学部の学生のみなさんへ》関西大学文学部では、1年次で人文科学の様々な分野の学問を学び(体験し)、2年次に進む時に専門を決めます。関西大学文学部には、魅力的な研究分野が多く、目移りしてしまいそうですが、初心貫徹し、ぜひ世界史専修へすすみましょう。大学で学ぶ歴史は、「暗記」ではなく、自分自身で歴史の意味付けをすることだと思います。 2年次で世界史専修に分属すると、「世界史専修ゼミⅠ/Ⅱ」に入り、いよいよ歴史研究の道に入ります。この時、世界史専修の先生たちと接して、より細かい研究テーマを探っていきます。森部ゼミでは、中国やアジアの歴史に関する日本語の本を読み、その内容をまとめて、他のゼミ生の前で発表し、討論するスタイルをとっています。 3年次になる時、卒業論文の執筆・完成の目的にあわせてゼミを選択します。森部ゼミに来る学生は、中国(モンゴル帝国以前)や朝鮮、北アジア、中央アジア(イスラーム化以前)の歴史に興味がある人が多いです。中には、東南アジアの歴史や、「神話」「旅行者」といったテーマでやってくる学生もいます。3年次では、研究史をおさえつつ、問題点を見つけることを指導しています。また、学生自身が興味・関心のあるテーマについて、専門書や論文を読みつつ、卒業論文のテーマを絞っていきます。そして4年次になると、論文や本だけでなく、より根本的な史料を実際に読みながら、過去の歴史を復元し、その意味を自分なりに考えて卒業論文を完成させます。また、森部ゼミは池尻ゼミ(東アジア近世・近代史)と合同ゼミを年に2回おこなっています。ここで、普段顔を合わせない教員・学生と交流し、また合同コンパを開いています。

《大学院で学ぼうと考えている学生へ》 学部で歴史を学んだ後、さらに研究を継続したい人は大学院へ進学します。森部研究室では、僕の専門領域に合わせ、唐や五代、契丹(遼)の時代史を研究する人が集っています。大学院では、大学院生が修士論文や学術雑誌に投稿する論文の執筆指導の他、漢文史料の講読を行っています。授業時間以外にも、勉強会を立ち上げ、漢文を読み、他の研究者と交流しつつ、研究の方法と視野を広げています。大学院進学の時に注意してほしいのは、学部時代に歴史をきちんと学んでいない人がいきなり 受験しても、合格は難しいということです。東ユーラシア史の基礎知識と歴史が好きだという情熱だけでは不十分で、漢文史料の読み方、論文の書き方など歴史研究の基礎的スキルが求められます。こういったものが無い人は、まず科目等履修生や研究生、あるいは学部編入も考えてから進学を検討しましょう。

モンゴル国シヴェートオラーン遺跡から見た風景(2018年7月撮影)