2025年12月5日[LDI-MS による金ナノロッド表面リガンド交換の可視化] Mass Spectrometry誌(日本質量分析学会)に論文アクセプト

H.  Kawasaki*, Y.   Iwasaki, R.  Arakawa
Stepwise Monitoring of Ligand Exchange on Gold Nanorods: From Cetyltrimethylammonium Bromide to Thiol-Functionalized Biocompatible Phosphorylcholine Using Matrix-Free LDI-TOF Mass Spectrometry
Mass spectrometry(2025). https://doi.org/10.5702/massspectrometry.A0184

    金ナノロッド(AuNRs)は多用途に展開できる有望なナノ材料ですが、表面を覆う CTAB が強固に残留するため、目的のリガンドへ置換する際の大きな障壁となってきました。
     本研究では、マトリックスフリー LDI-TOF-MS を用いて、AuNR 表面で進行するリガンド交換反応を分子レベルで直接追跡することに成功しました。
     CTAB の残存、PSS との相互作用による中間状態、そして最終的に導入される thiolated PC の存在を質量スペクトルとして明確に検出できました。また、UV–Vis–NIR スペクトルやゼータ電位測定と組み合わせることで、CTAB が段階的に置換されていくメカニズムを明らかにしました。得られた知見は、生体適合性表面の構築やナノ粒子の表面機能化に資する、基盤的な分析手法として重要な位置づけを持ちます。