M. Pagela, S. Song, N. Sumida, H. Kawasaki*
Carbon Quantum Dot-Decorated Zirconia Nanoparticles for Photo- and Sonocatalytic Dye Degradation,
J. Mater. Sci. Mater. Electron. 36, 459 (2025).
本研究では、「ジルコニア(ZrO₂)」という材料に、「カーボン量子ドット(CQD)」と呼ばれる非常に小さな炭素粒子を付着させ、その効果を調べました。目的は、光(紫外線)や超音波を利用して、水中の汚染物質(メチルオレンジという色素)を分解する触媒の性能を向上させることです。その結果、CQDをわずか0.1%加えたZrO₂は、何も加えていないZrO₂よりも高い分解能力を示しました。さらに、この触媒は5回使用しても80%以上の性能を維持し、繰り返し使えることが確認されました。この発見は、CQDを加えたZrO₂が、水中の汚染物質を分解する新しい環境技術として活用できる可能性を示しています。つまり、この触媒は、よりクリーンな水環境を実現するための有望な材料といえます。
本研究は、ダブルディグリー制度を利用して、ギーセン大学(ドイツ)から関西大学へ留学したPagelaさんの修士論文の成果です。
*ダブルディグリー制度とは、2つの大学が協定を結び、学生がそれぞれの大学で一定期間学ぶことで、両大学の学位(修士号など)を取得できる制度です。Pagelaさんはこの制度を活用し、ギーセン大学で修士課程を開始し、その後関西大学に留学して研究を行いました。
