2024年10月11日[パルスNMR/HSP解析] J. Colloid. Interf. Sci.誌(Elsevier)に論文アクセプト

I. Yasukawa, N. Manyuan, J. Ikeda*, and H. Kawasaki*
Effect of solvent chain length on the colloidal behavior of alkylamine-protected silver nanoparticles in alkanes: Insight from solvent relaxation NMR
J. Colloid. Interf. Sci.,(2024), https://doi.org/10.1016/j.jcis.2024.10.031


本研究では、低極性有機分子(ヘキサデシルアミン)で保護された銀ナノ粒子(C16-Ag NPs)のアルカン溶媒中での分散挙動の溶媒鎖長効果を調査しました。ペンタン(C5)やヘキサン(C6)、およびオクタン(C8)などの短鎖溶媒中では、C16-Ag NPsが良好に分散しました。他方、ドデカン(C12)やテトラデカン(C14)などの長鎖溶媒中では、C16-Ag NPsが凝集しました。この現象は、「似たものは似たものを溶かす」という従来の原則では説明できません。

そこで、溶媒緩和NMRを用いてC16-Ag NPsとアルカン溶媒との相互作用を詳細に調査しました。その結果、ナノ粒子表面を覆うC16分子層と溶媒との間で強い相互作用が発生する長鎖アルカン溶媒(ドデカン)では、有機分子層の秩序化が起こり、粒子凝集が促進されることを見出しました。有機分子層の秩序化を乱す、短鎖溶媒(ヘキサン)では、粒子分散か促進されることがわかりました。この結果は、溶媒との相互作用によって生じる有機分子層の秩序化が、ナノ粒子の分散・凝集に影響を与えることを示しています。

本論文は、マジェリカ・ジャパン株式会社/東北大学多元研の池田純子先生との共著論文です。