「第13回巨大津波災害に関する合同研究集会」と「大規模災害対策に関する現地調査」に参加しました

執筆者:高橋佑介(修士1回生)

ど〜もない!学生ブログを閲覧している皆様,こんにちは,奥村ゼミM1の高橋です.

先日,12/7〜12/8にかけて宮城県仙台市で開催された「第13回巨大津波災害に関する合同研究集会」と,12/8〜12/11にかけて岩手県・宮城県の沿岸で開催された「大規模災害対策に関する現地調査」に参加してきました.奥村ゼミからは奥村先生,M1高橋,B4八木,B4福永の4名が加わり,東北大学青葉山キャンパスにて研究成果を発表してきたほか,岩手県宮古市田老地区〜宮城県気仙沼市にかけての沿岸市町村の復興状況を調査してきました.以下は,発表タイトルの一覧です.

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ペットと津波避難の関係に注目した災害体験を伝える文書の分析         (福永)
介護サービス受給者に注目した東日本大震災時の気仙沼市における関連死の実態把握(八木)
避難開始における論理的判断と直感的判断の関係性に注目した証言記録分析    (高橋)
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仙台空港に着陸
仙台空港で見かけた,津波避難に関する看板

去年は関西大学梅田キャンパスでの開催でしたが,今年は東北大学青葉山キャンパスでの開催となりました.今回は開催期間が2日間あったのですが,発表者が多く一部のセッションはフラッシュトークとなるほどの盛況でした.参加者は様々な世代の方がおり,世代を超えた研究者の交流の場にもなっていました.

東北大学 青葉山キャンパスのようす
会場のようす

学外の発表は2回目ですが,フラッシュトークという形式は初めてでした.フラッシュトークにはグラフィカルアブストラクトが必要で,それの製作には苦労しましたが,その分良い図面が出来上がったのではないかと思います.

3分間の短い発表ではあるものの,セッション終了後には質疑応答のコーナーも設けられ,議論を交わすことも出来,とても有意義な時間を過ごすことができました.

仙台で頂いた牛タン

1日目の仙台では,仙台名物の牛タンを頂いたり,発表後には東北大学の食堂にて懇親会に参加させて頂いたりしました.個人的な話になりますが,人生で初めて牛タンを食べました笑.

東北新幹線

2日目はCDRの現地調査に参加するため,新幹線で盛岡まで移動後,バスで田老地区へ向かいました.田老地区では2つあるX字状の防潮堤を見学したほか,防災集団移転促進事業で作られた三王団地や,遠くから震災遺構である田老観光ホテルを眺めました.港の建物には明治・昭和・平成の津波の高さを示したプレートが設置され,津波の恐ろしさを物語っていました.

4Fまで浸水した田老観光ホテル,後ろは震災後に建設された高さ14.7mの防潮堤
黄色いプレートが津波の高さを示す.上から平成,明治,昭和の順

田老地区の見学後は,宮古市庁舎にて市の方から東日本大震災後の復興過程,まちづくりに関連する高台移転や災害危険区域の話題,自動車を使った津波避難訓練の実施状況など,様々な話を伺うことが出来ました.

宮古市危機管理課の職員の方から説明を受ける

翌日は宮古市内の防潮堤や,開口部に設けられた鉄扉の動作試験,閉伊川に現在建設中の水門のようす,津軽石川水門の動作試験を見学しました.その後,釜石市へ向かい,いのちをつなぐ未来館にて「釜石の出来事」の解説を受けたほか,岩手県オイルターミナル(株)を見学しました.

防潮堤の開口部に設けられた鉄扉.遠隔操作で閉鎖可能
早池峰山と建設中の閉伊川水門.左岸の防潮堤の高さは約10m
津軽石川水門の動作試験.震災後,カーテンウォールをTP+10.4mまで嵩上げした
いのちを繋ぐ未来館.釜石の出来事についての詳細な展示と解説がある
岩手県オイルターミナル(株)のようす

宮古市と釜石市の見学終了後は大船渡市へ向かい,キャッセン大船渡にて市の職員の方や(株)キャッセン大船渡の方から,災害危険区域の指定や防災集団移転促進事業,復興市街地整備事業等,まちづくりに関するお話を伺うことが出来ました.

翌日はホテル出発後,陸前高田市へ向かいました.消防防災センターでは市の職員の方から被害の概況や,被災地の復興状況(防潮堤の整備や土地区画整理事業,防災集団移転促進事業,災害復興公営住宅等整備事業など)について詳しくお話を伺うことが出来ました.その後,防災集団移転促進事業による造成地や,災害危険区域,道の駅高田松原を見学しました.途中,奇跡の一本松や気仙中を車窓から眺めることができました.

陸前高田市消防防災センター
消防防災センターにて解説を受けているようす
災害危険区域のようす.空き地が目立つ
奇跡の一本松
道の駅高田松原
防潮堤から道の駅高田松原を望む
新しく松原が作られている

陸前高田市で昼食後,気仙沼市へ移動しました.気仙沼市では,商工会議所の会頭から復興まちづくりと住民参加についてのお話を伺いました.震災後の防潮堤の整備に関して行政と住民の間で交わされた議論など,住民側の視点からみた「復興」について学ぶことが出来ました.漁業の街ということで,防災と景観,「海と生きるくらし」の両立が重要だと語られていたのが印象に残りました.

気仙沼市南町のようす.岸壁にはフラップゲートがある
防潮堤が目立たない工夫がなされた建物

夕食後と最終日はフリーの時間があったので,気仙沼を散策することができました.飛行機の時間まで余裕があったので,仙台市内を散策したりもしました.

ライトアップされた気仙沼湾横断橋
朝の気仙沼漁港
仙台への帰路の途中にあった津波避難タワー

自分の研究は東日本大震災における津波避難をテーマとしていることから,今回の研究集会や現地調査で実際に現地を尋ねることができ,「現場を見ることの大切さ」を学べたように思います.今まで画面を通してしか分からなかったものが,五感で感じ取れるようになり,証言記録に対する解像度がとても上がったように思います.

今回東北を訪ねたこと,現地の空気感を体感できたことで,大変研究のモチベーションが上がりました.この勢いのまま,大学院での研究を続けていきたいと思います.