論文公開:住民を取り巻く状況の変化と避難開始の関係

2022年11月01日(火)論文が公開されました.

高井環,奥村与志弘,Karina A. SUJATMIKO,住民を取り巻く状況の変化と避難開始の関係,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 78, No. 2, I_343─I_348, doi: https://doi.org/10.2208/kaigan.78.2_I_343,2022.

要旨
津波などの危険が迫っている場合,直感的に行動する者の避難行動の成否は地域に醸成される切迫感の高低に左右される.この切迫感を高める対策の重要性はこれまでにも指摘されているが,いずれも行政や住民による呼びかけなど,それ自体が情報を発するソース(情報発信源)に注目したものに限られていた.しかしながら,地震発生からの時間経過などの住民を取り巻く状況の変化も地域に醸成される切迫感に大きな影響を与えると考えられる.本研究では,過去5年分の津波避難訓練の行動データを状況の変化に注目して分析した.その結果,時計を用いた厳密な時間管理が行われていないにも関わらず4割から9割が決まった時間に避難を開始していること,住民の参集状況に関する発言が多数観察され,避難開始のタイミングに強く影響していることが確認された.