【活動報告】データで見る社会安全学(伊藤・福井・奥村3ゼミ合同)|2026年7月実施

2026年7月1日(水),伊藤ゼミ(交通事故),福井ゼミ(医療・疫学),奥村ゼミ(防災減災)の3ゼミ合同で,「データで見る社会安全学 2026」をテーマとした交流イベントを開催しました.今年度は,特別ゲストとして,大野哲之先生(水文気象学)にもご参加いただきました.

このイベントでは,各ゼミの学生たちが,自分たちの研究分野に関連するデータをもとにクイズを企画しました.今年度は,奥村ゼミから4問,伊藤ゼミから3問,福井ゼミから3問,計10問のクイズが出題されました.さらに,クイズの答えや背景を分かりやすく伝えるためのポスターを制作し,参加者に向けて解説を行いました.

取り上げたテーマは,交通事故,医療・疫学,防災減災など,各ゼミの専門分野に関わる多様な内容でした.分野は異なりますが,データを使って「何を問いにするのか」,そして「どうすれば相手に面白いと思ってもらえるのか」を考える点は共通しています.学生たちは,クイズやポスターを通じて,データを単に示すだけではなく,見る人の関心を引き出し,考えるきっかけをつくることの難しさと面白さを学びました.

また,多くの人が驚く結果だけでなく,少数の人の経験や関心に深く届く問いにも,大切な意味があります.価値観や関心が多様化する中で,どのようにテーマを設定し,どのように伝えるかを考えることは,社会安全学を学ぶうえでも重要な経験となりました.

当日は,軽食やコーヒーなどの飲み物も用意し,リラックスした雰囲気の中で交流を行いました.会場では,クイズの答えをめぐって考え込む姿や,ポスターを前に熱心に説明を聞く姿,ゼミを越えて意見を交わす様子が見られました.写真からも,和やかな雰囲気の中で知的な交流が生まれていたことが伝わってきます.

また,当日行った参加者による「なるほど投票」では,多くの参加者から「なるほど」「意外だった」と評価されたクイズとポスターとして,次の4件が選ばれました.皆さんもぜひ,クイズに挑戦してみてください.

「エコバックは本当にエコなのか?」by 畑中・三品・木原・田中(伊藤ゼミ)
 Q.どの素材が一番有害でしょうか?
 ①レジ袋,②PVC製品(プラスチック),③紙袋

「各国の平均睡眠時間と経済的豊かさの関係」by 藤岡・藤崎・大西・小森(福井ゼミ)

「行政備蓄における品目・地域ごとの特徴に関する調査」by 新田・野田・林(奥村ゼミ)
Q1.大阪府内および府内の市町村が管理している備蓄のうち人口1万人あたりの備蓄数が最も少ないものはどれでしょうか?
①毛布(枚),②水2リットル(本),③味噌汁(食),④即席のカップ麺(個)
Q2.人口10,000人における飲料水の備蓄数が最も多い都道府県は以下のうちどれでしょうか?
①北海道,②東京,③大阪,④高知

「コンゴ民主共和国の噴火における避難に関する調査」by藤岡・齋藤・林娜(奥村ゼミ)
Q.火山が噴火した時に部分避難*を選択した人の理由のうち、①に当てはまるのはどれでしょうか?
場所:コンゴ民主共和国,災害:火山噴火,日時:2021年5月
①財産を守るため,②危険ではないと思ったから,③病気で移動できなかったから
*部分避難……家族の中で一部だけが避難し,残りが危険地域に残ること(例)母と子は避難して父だけ避難せずに家に留まる。

学生たちが高く評価した理由は,以下の6タイプに分類されました.

① 意外性(思い込みとのギャップ):想定と違った事実や結果に驚き(51件)
・エコバッグが必ずしも環境に良いとは限らないことに驚いた
・女性の運転免許保有者数が増えていることが意外だった
・災害廃棄物の多くが再生利用されていることに驚いた
・高知県の毛布備蓄率が高いことが意外だった
・防災訓練がコロナ禍でも大きく減っていないことが印象に残った
・睡眠時間が短いほど年収が高いわけではないことが意外だった

② 知識・理解の広がり(学びや新視点の獲得):社会構造や背景理解につながった(31件)
・コンゴでは,避難したくてもできない理由があることを初めて知った
・日本と海外では,災害時の価値観や行動が大きく異なることを学んだ
・行政備蓄には地域差が大きいことを知った
・防災意識は,防災教育だけでなく,被災経験とも関係することが分かった
・災害廃棄物に着目することで,減災だけではない防災の視点に気づいた
・レジ袋やエコバッグについて,何が本当にエコなのか考えるきっかけになった

③ ユニークさ・独自性(他にない切り口):視点が斬新・新鮮だった(15件)
・コンゴ民主共和国を取り上げた点が新鮮で面白かった
・睡眠時間と年収・GDPを結びつける視点が新しかった
・女性の社会進出を運転免許保有者数から見る視点が面白かった
・「学力と親の年収」ではなく,生徒数との関係に注目した点が柔軟だった
・エコバッグは本当にエコなのか,という常識を疑う切り口が印象的だった

④ 納得感・明快さ(わかりやすさ,構成の巧みさ):説明やグラフが明確で納得できた(13件)
・グラフが見やすく,結果が理解しやすかった
・説明が分かりやすく,聞きやすかった
・防災訓練が微減に留まった理由の説明に納得できた
・都市部への人口流入という説明が腑に落ちた
・質問に丁寧に答えており,発表内容への理解が深まった

⑤ 身近さ・関心(自分ごととして関心を持てた):自分の生活や経験と関係(12件)
・エコバッグやレジ袋など,日常的に使うものがテーマで身近だった
・自転車によく乗るため,事故や取り締まりの話に関心を持った
・睡眠時間や年収など,自分の生活と関係する内容で興味深かった
・中学受験や教育実習の経験があり,教育格差や学校規模の話が身近だった
・行政や市役所のインターン経験と備蓄の話がつながって興味深かった

⑥ 構成・演出の工夫(発表の技術や演出):クイズや語り口などの工夫が良かった(4件)
・クイズの時点で興味を引かれ,ポスターを見てさらに理解が深まった
・選択肢が絶妙で,どれも正解に見えるところが面白かった
・タイトルが問いかけになっていて魅力的だった
・多いものではなく,あえて少ないものを問題にしていた点が印象に残った・エコバッグは本当にエコなのか,という常識を疑う切り口が印象的だった
・災害廃棄物や行政備蓄など,普段あまり意識しないテーマへの着目が独自だった

写真1:奥村による趣旨説明
写真2:院生による司会進行!
写真3:クイズに挑戦中
写真4:答え合わせ+解説(その1)
写真5:答え合わせ+解説(その2)
写真6:いよいよ「なるほど投票」
写真7:「なるほど投票」上位のチームによるプレゼン
写真8:福井先生による講評

ポスター