【特集】ラジオで伝えてきた防災・減災の知見 ― 2018-2025 OBCラジオ大阪

はじめに

奥村ゼミでは,2018年8月より,ラジオ大阪(OBC)にて学生が研究成果を社会に向けて発信してきました.自分たちの研究を自分の言葉で分かりやすくリスナーの皆さまに届けるこの取り組みは,ゼミ活動の中における,研究を社会へ開く実践の一つです.

これまでに,のべ76名の奥村ゼミの学生が61回出演しています.なお,私のみが出演した回も含めると,ゼミとしての出演回数はさらに多くにのぼります.本ページでは,その歩みを振り返ります.

なお,本取り組みにおいて,とりわけ大切にしてきた点は次のとおりです.

1.研究成果を論文だけで終わらせない
2.市民に届く形で伝える
3.学生が「社会に説明する経験」を持つ
4.防災を日常の話題にする

放送の歩み(2018–2026)

テーマにリンクがついている場合は音源(Youtube)に飛びます.

出演年月テーマ出演者
2018年8月11日
2018年8月18日
2018年8月25日
2018年9月01日
建物を活用した津波防災まちづくり
太陽の防災
避難開始に注目した津波避難対策
9月1日・防災の日
村井,四方
樋口,奥村
今,伊藤,石川
三原,奥村
2019年8月03日
2019年8月10日
2019年8月24日
2019年8月31日
2019年9月07日
新時代の防災・減災 ー防災の非専門企業×防災ー
私たちが考える避難対策の盲点とは
災害関連死の教訓を生かす研究
9月1日は防災の日-関東大震災とはどのような災害だったのか-
学生たちへ -本質を見抜く力-
樋口,川口
豊澤,西園,上田
川﨑,山村
高井,藤木
奥村
2020年2月01日
2020年2月08日
2020年2月15日
2020年2月22日
真夏の関連死の可能性
災害時における長期停電を防ぐ燃料供給事業者
日常に組み込ませる無理のない防災
インドネシアからの新メンバー(通訳あり)
藤木
上田
川口
Sujatmiko,川口,上田,藤木
2020年8月03日
2020年8月10日
2020年8月17日
2020年8月24日
2020年8月31日
直接死でも関連死でもない第3の死
交通事故対策と自然災害対策を比較する
避難訓練を空撮して分析する
コロナ禍の災害 ーフィジーでの経験談ー
長期停電災害
中川
石田
山村
田中
奥村
2020年11月30日
2020年12月07日
2020年12月14日
2020年12月21日
水族館で観光と防災⁉︎
そうめん備蓄
路地裏探訪
うずまる
乗石
前川
乗石
前川
2021年2月01日
2021年2月08日
2021年2月15日
2021年2月22日
過去50年の災害による死者減とそこに寄与した対策
観光と防災
高台移転
長期停電
野村
高井
西村
西園
2021年8月02日
2021年8月09日
2021年8月16日
2021年8月23日
2021年8月30日
土砂災害の死亡率の特殊性
中国の自然災害
ショッピングセンターの津波避難
関連死と持病
長期停電と電気自動車
堀切

大谷
山﨑
大塚
2022年2月07日
2022年2月14日
2022年2月21日
2022年2月28日
死亡率にみる風水害の特殊性
災害関連死と持病の関係
新聞記事データベースを使って災害データベースを作る
そうめん備蓄とまちなか水族館を深掘り
北田
山﨑
浦口
前川乗石
2022年8月01日
2022年8月08日
2022年8月15日
2022年8月22日
2022年8月29日
自動車運転行動を科学するーなぜ成功し続けているのかー
バレーボールでの手指骨折のメカニズム
コロナ禍の研究生活を振り返る
日本人とインドネシア人の避難行動特性の違い
『災害時の自死』と『運転時の眠気』
渡邊(伊藤ゼミ)
合津(伊藤ゼミ)
Sujatmiko山科
山科
頼安,松崎(伊藤ゼミ)
2023年2月06日
2023年2月13日
2023年2月20日
2023年2月27日
浸水害における要立退避難者は立退避難を考えているのか?
証言映像と証言文書から避難を科学する
災害関連死で亡くなられた方々が直面した食問題
災害時の停電の影響は業種によって違うのか?
朝野
梅崎,時重
八木,杉邨
2023年8月07日
2023年8月14日
2023年8月21日
2023年8月28日
ペットと防災
交通事故死者数の日中比較
そうめんと防災
精神疾患の親をもつ若者・子どもを支える
福永
,奥村
木俣,奥村
平井(廣川ゼミ),奥村
2024年2月05日
2024年2月12日
2024年2月19日
2024年2月26日
生活拠点と関連死
食と関連死
介護と関連死
支援者と関連死
山崎,奥村
杉邨,奥村
八木,奥村
木俣,奥村
2024年8月05日
2024年8月12日
2024年8月19日
2024年8月26日
ボランティ未経験学生へのボランティア
プラスを生み出すボランティア
能登半島地震の津波避難
梅田で津波避難
木俣,下村(元吉ゼミ)
下村(元吉ゼミ)
久世
前田
2025年2月03日
2025年2月10日
2025年2月17日
2025年2月24日
大規模収容施設で人命が失われる災害リスク
能登半島地震における来訪者の津波避難
能登半島地震における外食チェーンの活躍
宿泊施設は災害時にどう活躍したか
小林
久世
米津
東森
2025年9月01日
2025年9月08日
2025年9月15日
2025年9月22日
2025年9月29日
令和6年能登半島地震の学校再開はどれくらい?
大阪のキタとミナミと言えばどこ?どちらの方がガラ悪い?
人口あたりの交通違反検挙数が一番多い都道府県は?
急傾斜地崩壊危険地域の数が一番多い都道府県は?
小学生の20mシャトルランの平均回数と連動するデータとは?
金澤津田
堤(伊藤ゼミ)
三盛(伊藤ゼミ),下中(伊藤ゼミ)
栂野(福井ゼミ)
西尾(福井ゼミ)
2026年2月02日
2026年2月09日
2026年2月16日
2026年2月23日
音 × 避難 × インドネシア
エレベータ閉じ込め × 災害関連死
ボランティア × データ
停電 × 災害関連死
内海
上出
松本
上野

出演した学生たちの声

2018年8月から続いてきたラジオ出演は,研究成果を社会に紹介する機会であると同時に,学生が「研究をどのように社会に届けるか」を実践的に考える場でもありました.これまでに,のべ76名の奥村ゼミの学生が61回出演しています.ここでは,出演した学生たちが何を感じ,何を考えてきたのかを振り返ります.

はじめてラジオに出演する学生ばかりですので,収録はどうしても緊張を伴います.実際に,藤木(3期生)「うまく話せるのかとても緊張していました」と率直に綴っています.しかしその一方で,「収録がスタートしてからの会話は楽しく10分間が一瞬に感じました」とも振り返っています.また,ラジオの現場については,「収録に参加してみないと分からないなんとも言えないワクワク感等のラジオの裏側を知ることは普段の生活では得られない経験でした」と記しています.緊張と高揚感が交錯する体験であったことがうかがえます.

一方で,ラジオは決して容易な場ではありません.限られた時間の中で専門的な研究を分かりやすく伝える難しさに直面します.津田(9期生)は,「誤解を招かず分かりやすく伝える言葉選びがいかに重要かを深く理解しました」と述べ,「ただ知識を伝えるのではなく,問いかけを通して考えてもらうことの大切さを実感しました」とも記しています.伝えるという行為そのものを,改めて問い直す機会になっていました.

台本どおりに進まないやり取りの中で,上田(3期生)「想定外の質問もあり,臨機応変に対応する力の大切さを実感しました」と振り返っています.また,頼安(5期生)は,他ゼミとの合同出演について「異なるテーマ同士の共演でしたが,収録を通じて相違点や共通点を見出すことができました」と述べています.研究を外側から照らし直す機会にもなっていました.

さらに,藤木(3期生)は,英語を交えた収録を通して「完璧な英語でなくとも伝えるという気持ちが大切だということに気付かされました」と記し,「話しかけるその一歩を踏み出すことができたのなら,また伝えたいという気持ちがあれば言語の壁など無いと感じます」と綴っています.研究発信の場が,新たな挑戦への自信にもつながっていったことが伝わってきます.

そして何より印象的なのは,藤木の次の言葉です.
「自分の研究を誰かに伝えるためには,自分の中でしっかり整理して理解できていなければなりません。ラジオ収録は,自分の研究を見つめ直す良い機会でした。」

私は,この言葉にこのシリーズの意義が凝縮されていると感じています.

ラジオ出演は,研究を社会に紹介する場であると同時に,研究を自分自身に問い返す場でもありました.学生たちは緊張しながらも,自らの言葉で社会と向き合おうとしてきました.その積み重ねが,61回の放送一つひとつに刻まれています.

謝辞

2018年から続いてきた本シリーズも,一つの節目を迎えています.これまで支えてくださった関係者の皆さまに,心より感謝申し上げます.学生たちが研究成果を社会に届ける活動は,これからも形を変えながら大切に続けていきたいと考えています.