専修での学び

1.人間と社会の総合的理解を目指す

人間形成に関わるあらゆる現象を広い意味での教育ととらえるならば、学校教育にとどまらず、家庭教育、社会教育、企業内教育はもちろんのこと、マスメディア、若者文化、恋愛などが私たちの価値観や感情に与える影響でさえも教育研究の重要なテーマとなります。また、教育は経済、政治、福祉、行政、社会慣習といった広い意味での文化とも密接にかかわっていますから、学校教育について考える際にも、日本社会や国際社会における文化のあり方に広く目を向けます。                                                                                                                                                 2021年度からは、旧・情報文化学専修のスタッフと協働し、次世代の情報社会に対応できる学びも目指しています。

2.ミクロからマクロ、そしてグローバルへ

そうした様々な教育文化研究テーマは、もっともミクロな教育文化現象である1対1の人間関係を通した影響から、地域や国家におけるマクロレベルの教育政策、さらには国家間学力競争や国際メディアの情報といったグローバルな教育問題に至るまで、多様な層を成しています。そして、それぞれの層の教育現象は、一見関係なさそうに見えて、実はお互いに密接なつながりを持っていることが多いのです。たとえば、日本の子どもたちが学校で身につけることを期待される「学力」の中身は、社会のグローバル化やそれを背景とした国家間学力競争とは無縁ではありません。あなたの個人のファッションや音楽の好みでさえも、国際メディアを通して情報を送り続ける海外のファッション業界や音楽業界の戦略によってコントロールされているのかもしれません。

3.生涯学習~子どもから熟年期までの学び~

教育あるいは学習という営みは、大人になったら終わるというものではありません。人間の誕生から死に至るまでに生涯にわたって継続する営みなのです。従来の伝統的な社会でさえも、人間は大人になった後も、人生の新しい段階に適応するために様々なことを学んでいました。しかし、現代社会においては、そうした人生の新しい段階に適応することに加えて、めまぐるしく変化する生活環境や価値観に適応し続けることも、ますます重要な課題になってきています。教育文化研究のテーマは、人間生活のあらゆる時期のあらゆる側面に見出されるのです。

4.多様なアプローチ

研究対象が非常に幅広いことに加えて、教育文化研究のもう1つの特徴は、研究対象へのアプローチの仕方が実に多様である点です。複雑な教育文化現象を的確に読み解くために、社会学、人類学、行政学、心理学、経済学、歴史学、哲学、情報学などの様々な学問の方法を駆使します。また、理論と実証を重視した科学的アプローチから現場に根ざした実践的アプローチまで、さらにはマクロな視点での統計的アプローチからミクロな視点での詳細な事例研究まで、多様な方法論をもつ総合的学問としての性格を持っています。