※2019.11.08、本件に関する京都新聞記事に関して、末尾に追記をいたしましたのでお読みください。
社団法人土木学会は、毎年度、日本国内の選奨土木遺産を認定しています。
選奨土木遺産説明(土木学会HP):http://committees.jsce.or.jp/doboku_isan/node/19
令和元年度の選奨土木遺産に、当研究室が長年研究を続けております
京都市鴨川の「賀茂川・鴨川河川構造物群」が認定されました。
紹介ページ:
http://www.jsce.or.jp/contents/isan/files/2019_13.shtml
認定理由:
「賀茂川・鴨川河川構造物群は、戦前に景観に配慮し設計され、
我が国有数の河川景観と親水空間創出に貢献した、貴重な土木遺産です。 」
今回の遺産対象構造物となった、賀茂川・鴨川の低水護岸、床止堰堤、みそそぎ川に関する研究業績は、以下の通りです。
栢原佑輔・林倫子・荻野幹・谷川陸,戦前の鴨川改修計画における河川構造物の風致維持手法とその継承実態,土木史研究・講演集,Vol.39,pp.81-88,2019.6
追記:
2019年11月8日(金)京都新聞記事(タイトル「鴨川護岸や堰堤『土木遺産』に」)において、
本件に関する林のコメントを取り上げていただきました。
しかし記事中、いくつか訂正・補足すべき点がございますのでご注意ください。
・記事中、「現在の護岸は、1910年の大水害直後に景観も考え設計された」「1910年の大水害の直後に府が設計し、47年に完成した」
とありますが、水害の発生年が誤っています。正しくは、1935(昭和10)年です。
・記事中、「景観にも配慮して…(中略)…、護岸の上部が緩いカーブを描くように設計。」とあります。
当時、「景観(当時は「風致」)に配慮して低水敷を広げた」、という事実は資料より確認されておりますが、
「景観に配慮して低水護岸の形状を緩やかな傾斜でカーブしたもの(巻天端)にした」ことを直接示す資料は、
残念ながら確認されておりません。
現時点では、傍証を踏まえた当方の推測であるとご理解いただければ幸いです。
本件に関して、詳細は
前記論文「戦前の鴨川改修計画における河川構造物の風致維持手法とその継承実態」に詳述しております。
・京滋で本年度認定された選奨土木遺産として、記事中では鴨川のほかに3件挙げられていますが、
その他「上津屋橋(流れ橋、久御山町・八幡市)」もございます。