論文公開:日常の徒歩圏内距離と避難場所までの距離感の関係

2020年11月4日(水)論文が公開されました.

論文(査読有) 奥村与志弘,石川雄規,山田周斗,日常の徒歩圏内距離と避難場所までの距離感の関係,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 76, No. 2, I_1279─I_1284, doi: https://doi.org/10.2208/kaigan.76.2_I_1279,2020.

要旨

津波による人的被害を減らすためには,一人ひとりの避難開始のハードルを下げなければならない.本研究では,地震・津波一時避難マップと質問紙調査を活用して計測した「自宅から避難場所までの距離」と「日常における徒歩圏内距離」の2種類の距離データを分析し,これらの距離が避難場所までの距離感に及ぼす影響を検討した.その結果,避難場所までの距離を遠いと感じる住民の82.6%は,避難場所が日常における徒歩圏内距離の範囲にないことが分かった.また,雨天時や家族同伴,夜間という条件が重なると,避難場所への心理的距離はさらに遠くなる.対象地域では,徒歩圏内距離は200m〜500mであった.さらに,68%の住民が日常における徒歩圏内距離の範囲に避難場所がないことが分かった.