論文公開:津波避難時の巨視的群衆行動特性

2020年11月4日(水)論文が公開されました.

論文(査読有) 奥村与志弘,上大迫弘隆,土肥裕史,清野純史,津波避難時の巨視的群衆行動特性,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol. 76, No. 2, I_1267─I_1272, doi: https://doi.org/10.2208/kaigan.76.2_I_1267,2020.

要旨

避難開始に至るプロセスを理解すれば,効果的な津波避難対策を検討することができる.本研究の目的は,津波避難時の巨視的群衆行動特性を明らかにすることである.著者らは,訓練時に近隣住民が集まって避難場所に向かっていた9つの集団に注目し,その集団の動きを円で模擬した.集団の半径の算出方法は,円内の住民の割合に基づく方法,正規分布を用いる方法,魚群半径を用いる方法の3通りである.これらの方法で算出した集団半径の時系列変化を分析した結果,訓練開始時の半径(初期半径)とメンバーが集まった集団が高台へ出発する直前の半径(集合半径)は集団の人数に比例して大きくなること,避難行動中に安定的に現れる半径(避難行動半径)は集団の人数に関わらず一定であることが分かった.