「未災者」が教訓を伝えるということ

執筆者 奥村ゼミ4回生 関洸之介

1月11日(土)、「災害メモリアルアクションKOBE」というイベントに参加しました。阪神・淡路大震災が発生した1月に毎年行われています。震災から20年以上が経過し、ここ何年かは阪神・淡路大震災を経験していない「未災者」が「未災者」に教訓を語り継ぐという新しい挑戦が注目されているそうです。今年も中学生から大学生まで多くの若者が参加していました。私たちのゼミからは奥村先生とゼミ生5人が参加しました。

私はこの日、災害を経験していない人のことを「未災者」と呼ぶことを初めて知りました。現にパソコンの予測変換でも「未災者」とは出てきません。また1つ勉強になりました。

私がこの「災害メモリアルアクションKOBE」に参加した大きな目的は、奥村ゼミの稲葉の発表を見届けることでした。「災害関連死」は阪神・淡路大震災で初めて社会的に認知された概念です。卒業研究で彼女はこの「関連死」を繰り返さないために、一般市民レベルで避難生活の厳しさが具体的にどの程度イメージできているのかを明らかにすることを目指しています。小学生、住民、大学生に対して、「南海トラフ地震から1週間が経過したと仮定して、避難生活で何に困るか」というワークショップを実施し、その結果を分析しています。

2枚目の写真は分析結果の一例です。誤嚥性肺炎、脳血管疾患、心疾患は関連死で多くの犠牲を出しているにも関わらず、そうした犠牲につながる避難生活の状況をどの年代もあまりイメージできていないことが分かります。誤嚥性肺炎という言葉は私も1年前くらいにはじめて知りました。正しく口腔ケアをすれば防げるそうです。過去の災害から正しく学び、将来に繋げていかなければならないと思います。

発表している稲葉の勇姿 その1
発表している稲葉の勇姿 その2

特別シンポジウムでは、防災のスペシャリスト4人が阪神・淡路大震災からの25年とこれからについてお話しされていました。その中で、社会安全学部特別任命教授の河田先生が「被災地に義援金を送るより、被災地に行って体感するべき」ということを言っていたことが印象に残りました。「未災者」が災害を語り継いで行くためには、その災害のことを机に座って勉強したりテレビのニュースを見たりするだけではなく、実際に被災地に行き、リアルな被災地の様子を肌で感じたり、被災者の声を面と向かって聞くことが非常に重要なことだと考えさせられました。

集合写真