アルファ化米とメロン ー災害関連死対策を研究するー

執筆者:奥村ゼミ4回生 稲葉真緒

私は愛知県田原市の災害関連死対策について研究しています。広域巨大災害では、外部からの支援に頼らず内部にある資源だけで生き抜く力が求められます。その研究の一環で、7月に実施された2つの小学校の防災キャンプ事業に参加してきました。

まず、7月22~23日は南部小学校でした。

小学校を中心に、市役所、自治体、スマイルの会(婦人会)、消防署、消防団などが関わり、様々なプログラムが提供されていました。とても驚いたことは、食事の時間にメロンが出てきたことです。田原市は農業が盛んです。実際の災害時でも避難所でメロンが食べられるかもしれません。夜は、児童たちと公民館の床にダンボールを敷いて寝ました。

児童は楽しくのびのびと体験しているように見えました。ですが、最後の反省会では、避難所でどのように行動しなければいけないかを考えたり、今回の取り組みを通じて反省し改善すべきことについて考えることができていました。

朝食作りの様子~アルファ化米とメロン~

次に、7月26日は清田小学校でした。

こちらは宿泊を伴わない体験でした。その分、それぞれのプログラムがテンポよく進められていました。また、奥村先生のワークショップも実施されました。児童だけでなく、地元の自治会の方々も参加されていました。ワークショップの目的は、在宅避難生活と避難所生活などの避難生活でどのような困難に直面することになるのかをイメージできるようになることです。

私の当初の予想では、まだ小学生ということもあり、知識を活かして避難所生活を想像することはできても、在宅避難生活を想像することは難しいのではないかと考えていました。しかし、在宅避難生活では「道路が使えなくて食料を取りに行けない」、「動けないおじいちゃんおばあちゃんが食料を取りに行けない」というように、具体的にどのような状況になるのか想像できていました。また、災害関連死では高齢者が多く犠牲になります。子供たちは自分のことだけでなく、的確に祖父母の目線に立ち、災害時の生活を想像することができており、素晴らしいと感じました。

清田校区の体験の様子

私は今回2校の取り組みに参加しましたが、参加している組織、雰囲気、プログラム内容などそれぞれの地区で違いがありました。そして、農業が盛んな田原の特徴や、人々の距離が近いことなど、参加してみて感じることができました。

私は、災害関連死という観点で、田原市の防災キャンプ事業の効果を検証することを卒業論文のテーマとしています。これからどうしたらより良い事業になるのか、素敵なまちである田原市の方々が災害を生き抜くためにどう対策していくべきか、考えていきます。