私たちがもっている第一の武器、それはDNAを化学の力で望みどおりに「つくる」核酸有機化学の技術です。ATGCそれぞれの文字に対応した試薬を、5種類の補助試薬を使って、順番につないでいくホスホロアミダイトDNA化学合成法を完全に理解し、さらには自分たちの好みにあわせて自在にチューニングできるのが強みです。
さらに、大学でも習う有機化学の知識を活かせば、ATGC以外のまだこの世に報告されていない「文字」を書き込むための試薬ですら、私たちの手でつくりだすことができます。多種多様に販売されている市販の試薬も駆使しながら、私たちはこれら非天然の「文字」をDNA自動合成機を使ってDNAに書き込むことで、天然を超えた機能を有する分子装置(デバイス)や分子機械(マシン)をうみだしてきました。その典型的な一例が、蛍光色素と消光剤を機械的な結合で組み合わせた、これまでにない機構で動作する「分子機械(マシン)型蛍光プローブ」の開発です。
また、このサイトで紹介しているその他の研究テーマについても、私たちが自在にDNAを化学合成できるという事実が、世界の舞台でたたかっている他の研究グループと、私たちを差別化できる大きなアドバンテージとなっています。