多賀太ゼミ

多賀 太 教授  Futoshi Taga

教員紹介

愛媛県宇和島市(関西大学の前身である関西法律学校創立者の児島惟謙先生・土居通夫先生の故郷)で生まれ育ち、大学時代から20年間福岡県で暮らした後、関西大学に赴任しました。これまで、教育社会学を専門としながら、子ども社会学、家族社会学、労働社会学、ジェンダー論などの成果も採り入れ、現代日本人のライフコースのあり方を多角的に考察してきました。もう1つの私の専門が「男性学」で、海外の男性性(男らしさ)研究の動向を学びながら、日本や東アジアの男性に関する研究成果を海外へ向けて発表しています。また、社会活動として「男性の非暴力啓発運動」にも力を入れています。著作に『男子問題の時代?』(2016)、『男性の非暴力宣言』(2015)、『揺らぐサラリーマン生活』(2011)などがあります。

ゼミでの学習と活動

ゼミは3・4年合同で行います。
春学期には、4年生主宰の歓迎会で親交を深めます。
ゼミでは、主に教育社会学領域の論文の中から、十数点選定し、毎回それらの講読、発表、ディスカッションを通して理解を深めます。教育に関わる知識を単に増やすだけでなく、それらを多角的かつシステマティックにとらえる視点も重視します。取り上げる文献のテーマはゼミ生と相談しながら決めるので、毎年変わります。ここ数年では、家庭教育、学校教育、人権教育、ジェンダーなどに関する文献を中心に読んできました。
夏休み(8月下旬~9月中旬)には、3・4年合同のゼミ合宿を行い、4年生の卒論中間報告を聴くとともに3年生にも最初の卒論構想を発表してもらいます。
夏になると、3年生全員で相談して共同研究のテーマを決めて研究を開始し、インターゼミ合宿でその成果を発表し、それを報告書にまとめます。これまでの多賀ゼミの共同研究テーマは次の通りです。「里親啓発の現状と課題―大阪の活動に焦点を当てて」(2019年)、「同性パートナーシップ制度の課題と展望」(2018年)、「対等な関係を築くために-大学生向けデートDV予防プログラム作成」(2017年)、「子ども食堂の未来」(2016年)「学校と警察の連携に関する現状と考察」(2015年)、「問題を起こす子どもに対する教育的アプローチについて」(2014年)、「ドラマ『3年B組金八先生』に見る理想の教師像とその存立条件」(2013年)、「家庭教育に力を入れる親のライフヒストリー」(2012年)、「『イクメン』ブームの背景を探る」(2011年)。
冬からは、卒業論文の研究に着手します。なお、各自の卒業論文のテーマは、ゼミで扱うテーマと関係なくても、広い意味での教育や人間形成に関わるものであれば何でもかまいません。また、研究方法は、質的研究、量的研究、文献研究のいずれでもかまいません。ただし、ゼミで学術研究の仕方と学術論文の書き方をしっかりと学び、それらに則って論文を執筆することが求められます。
卒論のテーマは、例年バラエティに富んでいます。2019年度の4年生のテーマは次の通りです。「体育会に所属する女子大学生のボディイメージに関する研究」「祭りの運営と正課外教育」「学校現場におけるICT活用推進にむけて」「運動部活動独自の規則が部員の資質育成にもたらす功罪」「多様な性について学習した児童生徒の意識と行動の変容から考える教員に求められる意識」「育児雑誌における父、母の表象の違い」「若者のキャラ化のメリットとデメリット」「食品ロス問題―パン屋でのアルバイトを通して」「絵本の中に描かれる親子関係の変遷」「地域における伝統文化の継承に関する考察―徳之島闘牛を事例として」「日本語教師のライフヒストリー研究」「これから先日本はブラックバイトとどのように向き合うべきか」。
年度末には3年生主催で4年生の送別会を行います。
たくさんの文献に触れて、研究フィールドに飛び込んで、たっぷり議論して、じっくり考えて・・・。そうしたゼミ活動を通して、「論理的」に書いたり話したりする力、「多角的」で「柔軟」なものの見方、「行動力」や「実践力」を身につけ、共に学び合うことの喜びを知ってもらえるとうれしいです。