赤尾勝己ゼミ

赤尾 勝己 教授  Katsumi Akao

教員紹介

1995年4月に、関東地方の大学からこの関西大学に移籍してきました。赤尾ゼミは教育文化専修でもっとも歴史が古く、2024年4月から30年目を迎え、現在の3回生は第30期生です。私の専門分野は「生涯学習」です。生涯にわたる学習について、教育学、社会学、心理学等による学際研究を志向しています。学習は教育学だけでは十分に捉えきれないからです。主な担当授業は「生涯学習概論(-)」「生涯学習論」「生涯学習支援論(-)」「社会教育経営論(-)」です。2022年4月から放送大学客員教授として「生涯学習支援の理論と実践」という授業も担当しています。

2024年3月卒業の赤尾ゼミ生の主な就職状況は次のとおりです。大阪府高等学校国語科教諭、(株)関西電力、福岡県教育委員会職員、泉大津市職員。赤尾ゼミに入って仲間とともに培った力量が就職実績にも出ています。これからもお互いを高め合っていける関係性を創っていきたいと思います。

学びの3本柱

2024年度の赤尾ゼミは、次のように大きく3本の柱から構成されます。まず1本目は、

4月から5月にかけて、次の教科書を読みます。2つのグループに分けて、各章ごとに発表していきます。夏休みには、レポートを書いていただきます。この本は、教育社会的にひじょうにおもしろく、読む価値があります。内田良編『部活動の社会学』岩波書店、2021年。

第1章 部活動はどう変わってきたのか

第2章 部活動問題はどのように語られてきたのか

第3章 なぜ部活動に熱中するのか

第4章 教員のジェンダー・家族構成は部活動にどのような影響を与えるのか

第5章 経験者割合は部活動にどう影響しているか

第6章 勝利至上主義にはどのような特徴があるのか

第7章 地域によって部活動は変わるのか

第8章 部活動は安全か

この本は、将来教員になりたいと考えている方にはもちろんのこと、民間企業や公務員等に進む方にとっても、社会と教育の関係について学ぶうえで格好の内容になっています。

赤尾ゼミ2本目の柱は、共同研究です。4月から3回生の問題意識を出し合い、それらを一つのテーマに絞り込んでいきます。研究テーマと目次を決め、関連資料や先行研究を読み、10月からは現場へ行って授業観察や先生方への聞き取り調査などのフィールドワークを行い、それらをパワーポイント資料と冊子論文にまとめます。過去8回の赤尾ゼミの共同研究のテーマは次の通りです。

2016年度 「部活動の外部委託について~大阪市立中学校でのフィールドワークを通して~」

2017年度 「外国にルーツを持つ子どもへの日本語教育方法」

2018年度 「「公立小学校の英語教育改革~理想の英語教育を考える~」

2019年度 「SGH(super global high-school)とは何か」

2020年度 「小学校におけるプログラミング教育のあり方について~3つの小学校の授業実践の比較から~」

2021年度 「「コロナ禍におけるICT利用による授業実践の比較調査研究-三つの中学校での数学科の授業観察と聞き取り調査を通して-」

2022年度 「総合的な探求の時間における教員の関わり方と授業実践に関する比較調査研究~3つの高等学校におけるフィールドワークを通して~」

2023年度 「中学校における校則「自由化」の過程に関する調査研究-豊中市立の3中学校へのフィールドワークを手がかりに~」

この共同研究の過程で、皆さんは、ゼミ長・副ゼミ長を中心としたチームワークを形成し、互いに切磋琢磨と協力しながら、「学問をする」ことの片鱗に触れることになります。

この過程を通じて3回生のゼミ生が人間的に各段に成長していくのがわかります。

赤尾ゼミ3本目の柱は、インターゼミ研究発表会が終わる12月から始まる3回生一人ひとりの問題意識に基づいた個人研究です。インターゼミ研究発表会では、ゼミ全員で1つのテーマに基づくパワーポイントとワードのプレゼンテーション資料を作り上げましたが、今度は個人での研究を文章にしていただきます。これは4回生で書く卒業論文に向けたキックオフの位置づけです。この段階での研究テーマはまだいくらでも変更が効きますのでご安心ください。なお、過去5年間に卒業したゼミ生の卒業論文の代表的なテーマは下記の通りです。

・「部活動からみた教員の多忙化・長時間労働改善の研究-ノークラブデーは効果的なのか」

・「JETプログラムから派遣されるALTと現場中学校の相互関係」

・「教育改革に伴う後期中等教育における歴史教育の在り方-「なぜ」の歴史教育を求めて」

・「生涯学習の学習者と指導者を結びつけるために-生涯学習指導者人材バンクを通して-」

・「機能不全家族に関する-考察-「正しい家族」の形とはなにか-」

・「ひとり親に対する本当に必要な支援とは何か」

・「感情労働者としての客室乗務員のあり方-教員との比較から考える-」

・「課外活動がもたらす人格形成-社会人基礎力の観点から-」