【2020年度】
1.今城塚古墳の透視の実験-第1報-
東京大学の田中宏幸らが欧州の地質学関係の雑誌に投稿し、審査が最終的にパスして2020.9.4に公開になりました。
最終論文は、下記をクリックすると論文のpdfファイルを見ることができます。
Geoscientific Instrumentation Methods and Data Systems
An interactive open-access journal of the European Geosciences Union
https://gi.copernicus.org/articles/9/357/2020/gi-9-357-2020.pdf
論文タイトル:
Muography as a new tool to study the historic earthquakes recorded in ancient burial mounds
Hiroyuki K. M. Tanaka1,2, Kenji Sumiya3, and László Oláh1,2
- 1Earthquake Research Institute, The University of Tokyo, 1-1-1 Yayoi, Bunkyo, Tokyo 113-0032, Japan
- 2International Muography Research Organization (MUOGRAPHIX), The University of Tokyo, 1-1-1 Yayoi, Bunkyo, Tokyo 113-0032, Japan
- 3Graduate School of Informatics, Kansai University, 2-1-1 Ryozenji-cho, Takatsuki-shi, Osaka 569-1095, Japan
掲載ホームページは、下記です。
https://gi.copernicus.org/articles/9/357/2020/
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2.今城塚古墳の透視の実験-第2報-
関西大学の林武文らにより今城塚古墳のミュオグラフィ透視の結果を電気学会で報告しました。(2020.10.9) これは、東京大学田中宏幸教授の上記の論文をベースに第2報として発表したものです。内容は、今城塚古墳の選定理由、測定の原理、測定結果、アウトリーチ活動をまとめたものです。
論文タイトル:下記をクリックするとpdfファイルを見ることができます。
ミュオグラフィを用いた古墳の内部調査-高槻市今城塚古墳の透視実験-
林 武文 角谷賢二(関西大学)
電気学会研究会資料 知覚情報研究会 PI-20-049~055 , (2020)
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3.新技術ミュオメトリ 田中宏幸教授発表(2020.11.3)
Muometric positioning system (μPS) with cosmic muons as a new underwater and underground positioning technique
Hiroyuki K.M. Tanaka
Scientific Reports volume 10, Article number:18896(2020)
東京大学の田中宏幸教授は、海のGPS(カ-ナビ)を実現する新しい技術を発明しました。2020.11.3のグリニッジ標準時間10時に公開。この新技術は、これまで海中の位置決めはソナーしかありませんでしたが、相対論的素粒子を使って高精度に位置決めする技術です。ミュオメトリと呼ばれるこの新技術を使って、相対論的ミュオンが水中でも真空中の光速度で伝播することを利用して海水条件に依存しない位置決めを行います。この3次元位置決め技術はmuPSと称しており、GPSが対応できない水中だけでなく、地下でも位置決め出来るので、カーナビが通用しない地下でも作動します。利用シーンとして、破局火山といわれる巨大海中カルデラや地震の巣と考えられているプレート衝突域における動きを察知するなどが考えられます。海の中では電波が到達しないので陸上のように位置決めする事は容易でなく、新たな技術としての活用を期待できます。
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4.「ミュオグラフィ火山降下物モニタリングシステム」の開発
Development of the muographic tephra deposit monitoring system
Hiroyuki K.M. Tanaka
Scientific Reports volume 10, Article number: 14820 (2020)
Published: 09 September 2020
東京大学の田中宏幸教授は、「ミュオグラフィ火山降下物モニタリングシステム」を開発しました。2020年9月に公開。ミュオグラフィは比較的新しい技術ですが、田中教授によるこの興味深い研究により桜島火山における火山性降下物の堆積と浸食の質量変化をとらえる事に成功しました。一般的に、火山性降下物と土石流の間には関係がありますが、火山性降下物の厚さと粒度を知る事が出来れば、他にもいろいろな事が分かります。例えば火山学者は噴火規模を火山性降下物の厚さから知ろうとします。ミュオグラフィはこの厚さの変化を連続的に記録する事が出来るので、噴火規模の推定精度が向上することでしょう。これまで火口近傍における火山性降下物の厚さの測定方法は限られていました。例えば地中レーダーは堆積物の厚さを決めるのに使われていますが、噴火口近傍に行く必要が有り、遠方からリモートモニタリングする事は出来ません。
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