論文公開:避難開始における論理的判断と直感的判断の関係に注目した災害体験を伝える文書の分析

2024年6月,論文が公開されました.

高橋佑介,奥村与志弘,避難開始における論理的判断と直感的判断の関係に注目した災害体験を伝える文書の分析,土木学会論文集,Vol. 80, No. 13,23-13101,doi: https://doi.org/10.2208/jscejj.23-13101,2024.

抄録
あらかじめ決めていた情報を受け取って避難を開始する「論理判断型住民」は,地域に醸成される切迫感を感じ取って避難を開始する「直感判断型住民」に対して大きな影響を与えていると考えられる.本研究では,行動開始の判断に論理性がある住民を「論理判断型住民」として,従来の定義を拡張した上で,直感判断型住民との関係性について検討した.東日本大震の証言記録532件を分析した結果,(1)全体としては,論理判断型と直感判断型の住民の比が2対8であこと,(2)災害経験の有無や防災教育によって増減する潜在的な論理判断型住民の割合と,災害時に彼らの判断条件がどの程度満たされるのかによって,その比に若干の地域差が生じること,(3)高台避難か建物避難かという点に関しては両者に差がないことが分かった.