山ノ内裕子ゼミ

山ノ内 裕子 教授  Yuko Yamanouchi

教員紹介

福岡生まれ福岡育ちで、関西大学に着任して15年たちました。異文化間教育学および教育人類学を専門にしています。
私自身は、ブラジルの日系社会と日本のブラジル人コミュニティをフィールドとしています。ブラジルには2年ほど住んでいましたし、研究のため、日本でブラジル人家族とともに生活していたこともあります。就職してからは、以前のように長期間ブラジルに行く機会は減りましたが、ここ数年は夏休みや春休みに、6泊9日、7泊10 日と「弾丸出張」で片道30数時間かかるブラジルへ渡っています。
また、長男が重度の食物アレルギーだったこともあり、2018年度からは、食物アレルギーの子どもたちと、宗教上の理由から食に禁忌がある子どもたちを主な対象として、学校給食に関する研究も行っています。

ゼミ合宿について

夏または秋にはゼミ合宿を行います。例年、秋にゼミ合宿を行っています。ここ数年、セミナーハウスでのゼミ合宿が続いているので、たまにはフィールドワークを兼ねて、もっと遠いところへ行ってみたいなあと思っています。

インターゼミ合宿について

2010年度 「若者は音楽を聴かなくなったのか」
2012年度 「大工になるということ:教育における徒弟制を考える」
2013年度    「山村留学のエスノグラフィー: 兵庫県神河町越知谷地区のフィールドワークから」
2014年度    「セクシュアルマイノリティが求める学校教育」
2015年度    「大阪府立高校におけるインクルーシブ教育の現状と課題」
2016年度    「子どものよりよい放課後を考える:大阪市の事例から」
2017年度 「日本におけるレイシャルハラスメント:教育・メディアの視点から」
2018年度 「10代妊産婦を取り巻く現状と課題」

テーマは多岐にわたっていますが、身近な社会問題が、大きな社会現象となるちょっと前に先取りしてテーマを選ぶのが山ノ内ゼミの特徴でもあります。大坂なおみ選手の活躍が、そのバックグラウンドと重ねてメディアで大きく取り上げられ始めたのは2018年からですし、セクシャルマイノリティの人々が、LGBTという用語とともに、認知度が高まったのも、2015年以降です。
インタビュー調査だけではなく、参与観察、テキスト分析など、質的調査の方法を駆使して調査を行っています。また、発表に際しては、3回生は春から準備を進めていきますが、今年度も、昨年、研究発表を行った4回生たちが、しっかりサポートしてくれていました。3回生の際に、インターゼミ合宿の研究発表を通して質的調査の方法(依頼状やお礼状など、過去の先輩たちが作ってくれたフォーマットがあります)や論文の書き方を徹底的に習得するので、卒業論文の執筆は、比較的スムーズに行えるようです。

卒業論文のテーマについて

2018年度の4回生の卒論テーマは以下のとおりです。「学生のギャンブル接触実態」「バックパッカーをする若者」「私立小学校受験」「韓国文化の変容と日本の韓国語学習者」「障がい者雇用」「保育の多様化」「道徳教育」「就職を選ばなかった若者たち」「学校制服」
インタビューや参与観察を行う学生の方が圧倒的に多いのがゼミの特徴です。なかでも、視覚障がいをもつ学生が、視覚以外の感覚を生かして相撲部屋でフィールドワークを行ったり、手話の得意な学生が、聴覚支援教育をテーマに選んで聴覚障がいをもつ方々に手話でインタビュー調査を行ったりするなど、学生の質的調査には私も学ぶところが大きいです。ダンススタジオに実際に入学して、どうやって未経験の若者がダンサーになっていくのか研究したこともありましたし、外国人児童が多く在籍する公立小学校で、1年間フィールドワークをした学生も、これまで3名いました。
このように、山ノ内ゼミでは、オーソドックスな教育社会学のテーマに加えて、若者のアイデンティティやライフコースの形成過程であったり、サブカルチャーやユースカルチャーの研究だったりと、広義の意味での教育文化研究を行う学生が多いのが特徴ですが、テーマ選択に際して、何も制限はありません。