広瀬義徳ゼミ

広瀬 義徳 教授  Yoshinori Hirose

教員紹介

広瀬ゼミ(学部)は、私が着任した2008年度に開設し、今年で11年目を迎えます。大学院のゼミは、2017年度に開設されました。
担当教員である広瀬の専門領域は、教育行政学や教育制度学など教育学のなかでもマクロな研究領域です。ただ、かねてから狭い意味での専門領域に閉じこもった思考がしっくりこないこともあって、教育学の他の専門領域や他の学問分野にも問題関心を持っています。そのことは現在に至るまで、読書する本の世界の広がりや、共に研究活動をしている仲間の顔ぶれにも反映しています。
本学の教育文化専修で担当する学部の専修固有科目は、必修科目のほかに「教育行政論」や「子どもと教育の法学」などの専修関連科目があります。そして、全学の授業では、教職科目の「教育制度論」なども担当し、本学の教員養成にかかわってきました。また、大学院の授業科目は、ゼミ以外に「教育理論・政策学研究」と「教育行財政学研究」を修士課程で担当しています。
社会的活動の面では、現場の教職員や教育行政職員の方々と様々なお付き合いをしたり、阪神地区私立大学教職課程研究連絡協議会の仕事や教育関係の各種行政委員もしたりしています。

著書等

・広瀬義徳/桜井智恵子編『問われる社会/揺らぐ主体』インパクト出版社、2013年
・教育政策2020研究会編『公教育の市場化・産業化を超えて』八月書館、2016年

過去のゼミ3回生の共同研究テーマ

2008年度「携帯・テレビゲームなどの情報メディアが人間形成・変容に与える影響と国・社会・学校の規制について」
2009年度「情報モラル教育の実態と課題」
2010年度「犯罪の統計的事実とイメージとのズレについて」
2011年度「東日本大震災・原発に関する社会的コントロール」
2012年度「公立学校の再定義と不登校生徒支援の新しいかたち」
2013年度「朝鮮学校・インターナショナルスクールの学校選択理由に見る教育戦略とリスク」
2014年度「洛友中学校夜間部生徒の『学び直し』と昼間部生徒との『交流』の意義」
2015年度「若手教員育成のための『メンター』制による校内研修の実態」
2016年度「『ホームレス』当事者の学校経験の研究」
2017年度「公立高等学校における特別支援教育支援員の現状と課題」
2018年度「『交際』等の校則指導をめぐる教師の役割葛藤」
上記のテーマは、現代社会における育ちと学びなど人々の生活・人生についてしっかり考える上での一つの切り口に過ぎません。3回生が共同で行う研究テーマは、教員の指導を受けながらですが、自分たち自身で見つけてもらいます。ここ数年は、3回生の共同研究を研究成果報告書の形で冊子にまとめてきました。興味関心のある2回生は、是非その報告書を見てください。先輩方が考えたことやその頑張り具合、苦労したことまでがよく分かります。4回生で取り組む卒論のテーマもふくめ、「社会的な問題意識」を大切にするなら研究で取り上げる対象や方法はどれだけ多様であっていいと考えています。教育行政学・教育制度学のアプローチでなければいけないというわけでもありません。
これまでにゼミ4回生が取り組んだ卒論のテーマにしても、例えば、「教頭職の多忙化」「少年刑務所の中の高校教育」「若手教員育成に向けた再任用教員の活用」「ふるさと納税による自治体の教育・子育て事業」「幼稚園就園奨励費の研究」「新聞紙上の保育所設置反対論」「小学校受験塾の講師の教育戦略」「夜間中学校への形式卒業者受け入れ」「児童自立支援施設の指導法の変化」「部活動における『周辺』生徒への指導の在り方」「小学校『部活動』の実態」など、実に幅広く多様です。

ゼミの運営・雰囲気

広瀬ゼミ(学部)は、「共に学び、共に遊ぶ、楽しい居場所」であってほしいと考えています。学生に言わせると、ゆる過ぎずきつ過ぎもしないゼミだそうです。それでも単に授業の単位を取るために形式的に所属しているだけというゼミではつまらないと思いませんか。集まった仲間次第で、ゼミというものは、卒論を書くための学びの場以上の何かが生まれるところになりえます。入ってくる学生の性格や能力は問いませんが、例年ゼミ生自身が役割を決めてさまざまな企画をして活動するため、時間がなくてそうした活動には参加できない学生は合わないかもしれません。
2019年度は、火曜5限(3回生と4回生の合同ゼミ)と木曜4限(4回生の卒論指導ゼミ)にゼミを置いています。3回生のときに取り組む共同研究では、相当な時間をかけて文献読解や調べもの、調査、そして発表をしてもらいますが、それらすべてが、4回生のときに執筆する卒業論文を作成する上での基礎的な学びになってほしいと考えています。

ゼミ生の進路状況

ゼミ生の進路は、大阪府・兵庫県・神戸市・三重県・滋賀県・大分県等の公立学校教員、関大一校など私立学校の非常勤・常勤講師、高校入試情報管理センター、関西医科大学職員、大教大の連合教職大学院や筑波大学大学院への進学、塾といった教育関係をはじめ、食品ではふじっこやカルビー、商社・メーカーではダイハツ自動車・明光商事・黒田電気・ワコールなど、金融では三井住友銀行・東京三菱UFJ銀行・りそな銀行・みずほ証券・日本政策金融公庫、岡山銀行・泉州銀行、その他にも近鉄百貨店や日本郵便四国支社、関西電力など多彩です。
それぞれ異なる新天地に羽ばたいていった卒業生たちですが、社会人になってからもときどき同じ世代のゼミ卒業生同士で集まったり、互いに連絡を交わし合ったりしているようです。この10年ほどで学校の教員になったゼミ卒業生が増えましたので、今はゼミ卒業生の中でも教員をしている者だけが集まる会も年に1、2度開かれています。ゼミ8周年と10周年のパーティでは、初代から現役世代のゼミ生までが集まりました。進路は多様ですが、卒業してからも困ったときや楽しいことがあったら声をかけあうことができる関係がゼミという場で築かれるなら嬉しいですね。

連絡先

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