大阪公立大学の藤井俊博准教授が参加する国際共同研究チームは、観測史上最大のエネルギーを持つ宇宙線を2021年5月27日の明け方に観測しました。この粒子はアメリカのユタ州で行われている「テレスコープアレイ実験」で検出され、244エクサ電子ボルト(2.44×1020 eV)という極めて高いエネルギーを持つことが確認されています。この最高エネルギー宇宙線は、1991年にFly’s Eyeによって観測された宇宙線と並んで世界でトップクラスのエネルギーを持っています。また飛んでくる頻度は、15年に1個ほどの確率です。藤井准教授らは、このような極めて数の少ない宇宙線の発見に挑んでいます。その理由は、これは高エネルギー宇宙線の中でも非常に珍しいもので、宇宙の極端な天体現象が関与している可能性があると考えられているからです。すなわち、この宇宙線の飛んできた方向のかなたの宇宙にまだ発見されていない極限宇宙物理現象が存在する可能性があるからです。
この発見は宇宙線の起源や生成メカニズムの解明に向けた重要な一歩とされており、今後の宇宙研究の発展に大きく貢献することが期待されています。
この宇宙線のような宇宙から到来する高エネルギーの宇宙線からミュオンが生成されているため、この宇宙線はミュオンの親玉の親玉と言っていいかと思います。
中島裕司画家と角谷賢二は、2024年6月21日に大阪公立大学の藤井准教授の研究室を訪問し、この宇宙線の詳細を聞きました。中島画家はその時のインスピレーションを基に絵画の制作を始めました。そして、完成したのが上記の油絵です。2024年10月12日に大阪公立大学に寄贈し、現在大学内に展示されています。