私の研究活動の入口は、学生時代に出会った具体美術協会(「具体」)でした。「具体」は、1950年代後半から60年代にかけて関西を拠点に活動した抽象美術グループです。「具体」のことをひととおり把握した後、「具体」だけを調べていても「具体」は理解できないとの考えから、関心を「縦軸」と「横軸」に沿って広げていきました。
「縦軸」とは、通史的な時間軸のことです。「具体」が生まれた関西の前衛美術の歴史を調査研究し、論文や職場の美術館での企画展の形で発表してきました。
もう一方の「横軸」とは、同時代的な時間軸のことです。「具体」は戦後いち早く欧米の美術家や評論家と交流し、パリやニューヨークで展覧会を開催するなど、国際的な活動を展開したグループでした。「具体」との比較を念頭に置きながら、同時代のアンフォルメルや抽象表現主義の動向、それらに分類される美術家(ジャクソン・ポロックなど)を調査研究しています。
詳しい研究業績は「researchmap」をご覧ください。
単著書
「具体」ってなんだ? : 結成50周年の前衛美術グループ18年の記録
美術出版社 2004年 ISBN:4568201772
三岸好太郎、吉原治良・抒情のコスモロジー
本の友社 2001年 ISBN:9784894392922
共著書
白髪一雄 行為にこそ総てをかけて *監修
青幻舎 2024年 ISBN:978-4-86152-959-7 C0071
栄利秋作品集 *編集も
海風社 2023年 ISBN978‐4‐87616‐068‐6 C0371
小野田實 私のマル
青幻舎 2021年 ISBN:9784861528293
Epicurism of Space Universe in New York: Minoru Yoshida
現代家族リサーチャーズ、Ulterior Gallery 2019年 ISBN:9781733062602
白髪一雄 水滸伝豪傑シリーズ *監修
ライブアートブックス 2018年 ISBN:9784909341037
maru MINORU ONODA 小野田實
Scheidegger & Spiess 2018年 ISBN:9783858818225
MINORU ONODA
Scheidegger & Spiess 2018年 ISBN:9783858818218
堂本印象 創造への挑戦
淡交社 2018年 ISBN:9784473042439
Ryuji Tanaka
MER. Paper Kunsthalle 2016年 ISBN:9789492321275
浮田要三の仕事
りいぶる・とふん 2015年
Tsuyoshi Maekawa
MER.Paper Kunsthalle 2014年 ISBN:9491775413,9789491775413
Gutai: splendid playground
Guggenheim, N.Y. 2013年 ISBN:9780892074891
Destroy the Picture: Painting the Void, 1949–1962
Skira Rizzoli Publications 2012年 ISBN:9780847839308
Gutai : dipingere con il tempo e lo spazio
Silvana Editoriale 2010年 ISBN:8836618154,9788836618156
復刻版 具体:別冊
藝華書院 2010年 ISBN:9784990405533
昭和期美術展覧会の研究 戦前編
中央公論美術出版 2009年 ISBN:9784805505991
幻のロシア絵本 : 1920-30年代
淡交社 2004年 ISBN:4473031667
現代芸術への誘い
東方出版 1999年 ISBN:4885916151
阪神間モダニズム : 六甲山麓に花開いた文化, 明治末期-昭和15年の軌跡
淡交社 1997年 ISBN:4473015750
企画した展覧会
没後10年 白髪一雄 水滸伝豪傑シリーズ *監修
尼崎市総合文化センター 2018年11月-12月
特集展示:ケラ美術協会
京都国立近代美術館 2017年10月-12月
リーフレット:「ケラ美術協会について 」
あの時みんな熱かった!アンフォルメルと日本の美術
京都国立近代美術館 2016年7月-9月
カタログ:「日本におけるアンフォルメルとその役割」
ヨシダミノルの絵画 1964-1967
京都国立近代美術館 2014年7月-8月
リーフレット:「ヨシダミノルと1960年代の絵画」
「具体」―ニッポンの前衛 18年の軌跡
国立新美術館 2012年7月-9月
カタログ:「『具体』―近代精神の理想郷」
野村仁 変化する相―時・場・身体
国立新美術館 2009年5月-7月
カタログ:「地上から宇宙へ ― 野村仁の『世界』」
白髪一雄展 格闘から生まれた絵画 *監修
安曇野市豊科近代美術館ほか 2009年4月-2010年3月
カタログ:「白髪一雄のアクション・ペインティング」
アヴァンギャルド・チャイナ―〈中国当代美術〉二十年― *共同企画
国立新美術館ほか 2008年8月-10月
カタログ:「中国現代美術における身体表現」
安齊重男の“ 私 ・ 写 ・ 録 ” 1970-2006
国立新美術館 2007年9月-10月
カタログ:「安齊重男とその写真」
日本近代画家の絶筆 *監修
兵庫県立美術館ほか 2007年5月 -9月
カタログ:「本展について」
グループ〈位〉
兵庫県立美術館 2004年11月-2005年3月
カタログ:「グループ<位>―世界をめぐる思考―」
結成50周年記念 「具体」回顧展
兵庫県立美術館 2004年1月-3月
開館記念展 美術の力―時代を拓く7作家―
兵庫県立美術館 2002年7月-8月
カタログ:「美術の力、美術館の力」
アクションペインター 白髪一雄展
兵庫県立近代美術館 2001年6月-7年
カタログ:「白髪一雄の絵画〜『内なる両極性』をめぐって〜」
震災と美術―1.17から生まれたもの―
兵庫県立近代美術館 2000年1月-3月
カタログ:震災と美術―1.17から生まれたもの―
アート・ナウ’96―在ることの根源へ
兵庫県立近代美術館 1996年 12月-1997年1月
カタログ:「在ることの根源へ 」
制作者集団「極」
兵庫県立近代美術館 1996年 10月-12月
津高和一とゲンビの作家たち 1950年代のモダニズム
兵庫県立近代美術館 1995年12月-1996年1月
カタログ:「津高和一の1950年代」「現代美術懇談会(ゲンビ)―前衛たちの夢」
よみがえる昭和モダン 石丸一とその周辺
兵庫県立近代美術館 1994年8月-10月
リーフレット:「石丸一について 」
関西の美術1950’s〜1970’s―創造者たちのメッセージ―
兵庫県立近代美術館 1994年4月-5月
カタログ:「関西の美術 1950〜1970年代―概説的に」
没後20年 吉原治良展 *企画協力
芦屋市立美術博物館ほか 1992年4月-10月
カタログ:「吉原治良と舞台」
画家たちの関西: 洋画壇物語 1890-1940 *共同企画
兵庫県立近代美術館 1989年10月-11月
カタログ:「関西の前衛美術 1920−1940年」
その他の論文・調査報告
写真・映像による具体美術協会の研究 戦後美術史研究の基盤構築と活性化の試みとして(共著)
大阪中之島美術館 調査研究報告書 2021年3月 https://nakka-art.jp/learning/bulletin/
欧米に流出した「具体」の絵画作品の調査研究
『鹿島美術研究』年報 (18 別冊) 2001年11月
吉原治良の一九三〇年代の抽象絵画 : 素描と蔵書が物語ること
関西大学哲学 20号 2001年3月
ジャクスン・ポロックのポード絵画の主題をめぐって
美學 49巻1号 1998年 https://doi.org/10.20631/bigaku.49.1_36
岡本唐貴、浅野孟府と神戸における大正期新興美術運動
兵庫県立近代美術館研究紀要 5号、6号 1996年3月、1996年7月
共同研究・競争的資金等
戦後日本美術のパラダイムシフトー「新しい絵画世界展」(1958年)の調査研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)(一般)
2023年4月-
荒川修作+マドリン・ギンズ映画資料アーカイブ構築による映画制作過程と身体論の研究 *研究代表者:三村尚彦
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B)(一般)
2022年4月-2024年3月
林原美術館所蔵資料の総合的調査―林原美術館との連携強化のために― *研究代表者:乾善彦
関西大学 教育研究高度化促進費
2019年4月-2022年3月
日本美術におけるアンフォルメルの受容と展開
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)(一般)
2019年4月-
写真・映像による具体美術協会の研究-戦後美術史研究の基盤構築と活性化の試みとして *研究代表者:河﨑晃一
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)(一般)
2016年11月-2019年3月
ニューヨーク時代のヨシダミノルの動向の調査研究
公益財団法人ポーラ美術振興財団 美術館員の調査研究助成
2016年4月- 2017年3月
関西における前衛美術の通史的研究
公益財団法人ポーラ美術振興財団 美術館員の調査研究助成
2004年4月-2005年3月
欧米に流出した「具体」の絵画作品の調査研究
公益財団法人鹿島美術財団 調査研究助成
2000年4月-2005年3月
吉原治良研究 *研究代表者:河﨑晃一
公益財団法人ポーラ美術振興財団 美術館員の調査研究助成
1996年度
その他
京都新聞に「戦後美術の考古学」を1年間連載
2014年5月-2015年4月
『美術手帖』の展評(関西)を1年間担当
1991年8月-1992年7月
その他、論文、評論、エッセイ、解説、講演、口頭発表など多数。