文芸事象の歴史研究会 (編)『GRIHL(グリール)II 文学に働く力、文学が発する力』(吉田書店、2021年11月)

嶋中博章先生の共編著です。

文学と歴史記述をめぐる日仏の対話は今も続く
「どのようなautoritéがあってさう言うのか.」
文芸事象と権威-権力の関係を問う12の共同研究

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【目次】
 
序 言説化された権威と、その作用としての権力 【野呂 康】
 
第Ⅰ部 文芸事象と権威‐権力
 
第1章 「規範逸脱的な」作家とは何か――古典主義時代における文化場の周縁から
1 父の権威とマイナー作家性──レチフ・ド・ラ・ブルトンヌにおけるエクリチュールの主体をめぐって【森本淳生】
2 《ラミールの饗宴》の「作者」をめぐって――ルソー『告白』の余白に【桑瀬章二郎】
3 カシエとデフォルジュ−マイヤール――過剰な作者:啓蒙の名もなき二人【ダイナ・リバール(淵田仁訳)】
 
第2章 出来事の構築――歴史上の権威と歴史記述上の権威
4 フロンド時代のメモワール作者の権威の構築【クリスチアン・ジュオー(嶋中博章訳)】
5 ルイ一四世の死と証言の権威――日記、メモワール、歴史記述【嶋中博章】
 
第3章 政治的権威と文学的権威――一九世紀および二○世紀
6 文学フィクションを律する?――一八五〇年リアンセ法改正案【ジュディット・リオン-カン、辻川慶子(辻川慶子訳)】
7 一九三〇年代、セリーヌにおける反知識人的アンガージュマン――アンリ・バルビュスとの比較から【杉浦順子】
 
第4章 検閲のエクリチュールと権威――一七世紀および一九世紀
8 一七世紀における神学博士たちによる承認――文芸化の諸用法【ニコラ・シャピラ(中畑寛之訳)】
9 権威を演じ、それと戯れ、あるいは裏をかく――第三共和制下で検閲された書物に関する言説【中畑寛之】
 
第5章 複数の権威
10 背後の権威、権力――アントワーヌ・アルノー『頻繁なる聖体拝領について』をめぐる論争【野呂 康】

第Ⅱ部 歴史表象の諸問題(講演記録)――マザリナードのその後、ユダヤ人虐殺の表象
 
1 マザリナードの境界【クリスチアン・ジュオー(嶋中博章訳)】
2 〈本当はそうじゃなかった〉――ユダヤ人虐殺(la Shoah)後に、表象不可能なものを初めて表象しようとする試み【ジュディット・リオン−カン(永田道弘訳)】

あとがき