世界史専修とは?


専修の特徴

ライン川とドイツ・スイス間の国境

関西大学文学部の世界史専修では、アジアからヨーロッパにかけてのユーラシア各地、エジプト、南北アメリカ、オセアニアなど世界各地で過去に起こったさまざまな事象について、歴史学の方法を用いて探究します。歴史学とは、古代から現代にわたる人類の過去をみつめ、現在の問題を考え、未来を展望する学問です。

これまでの世界史は、アジア(とくに中国)を中心とする「東洋史」と、ヨーロッパ(とくに西欧諸国)を中心とする「西洋史」という分野に分かれて研究・教育が進められてきました。しかし、近年の歴史学には、従来の枠組みにとどまらない視点や手法が必要とされています。背景には、21世紀以降、世界の一体化(グローバル化)と多極化が急速に進行していることがあげられます。たとえば、観光や留学を通じて国境・地域を越えた文化交流が活発になると同時に、地域間の経済格差、環境破壊、民族紛争、感染症の流行、移民問題、マイノリティとの共生といった人類共通の課題が深刻さを増しています。このように複雑化した現代世界の成り立ちを深層から理解するために、常識にとらわれない広い視野から世界史を学び、考えることが求められています。

関西大学の世界史専修では、東洋史と西洋史の枠を超えて多様な専門分野の教員が連携し、世界の歴史を総合的・多角的に学ぶことのできる環境を整えています。教員の専門分野は、時代では古代から現代まで、対象地域は世界各地に広がるうえ、研究テーマも文化・政治・経済・社会などさまざまな領域に通じていますので、学生のみなさんの幅広い問題関心にこたえることができます。

授業では、学外の非常勤講師も交えた多彩な講義を通じて、広大な時空間へ視野を広げていきます。演習(ゼミ)では自分自身がもっとも興味を持った研究テーマを選択し、教員や友人との議論を通じて、独自の歴史像をつくりあげていきます。私たちの未来を展望するために、世界史の扉を開けてみませんか。


専修の歩み

世界史専修は、2010年4月に世界の歴史を総合的・多角的に学ぶ場として誕生しました。その源流は、戦後間もない1949年に開設された史学科にあります。現在の世界史専修も、日本史・文化遺産学専修や地理学・地域環境学専修と緊密に連携しながら、関西大学文学部における歴史学・地理学分野の教育と研究を担っています。

1949(昭和24)年関西大学文学部に日本史・東洋史・西洋史の三分野からなる史学科開設
1967(昭和42)年史学科に地理学分野が加わる
1978(昭和53)年史学科を史学・地理学科に改称
2004(平成16)年史学・地理学科を総合人文学科史学・地理学専修に改組
2007(平成19)年史学・地理学専修を歴史学専修と地理学・地域環境学専修に改組
2010(平成22)年歴史学専修を世界史専修と日本史・文化遺産学専修に改組

世界史専修Q&A

大学で学ぶ世界史について

Q.大学受験で世界史を選択しなかったのですが、世界史専修で学ぶことはできますか?

A.可能ですし、大いに歓迎します。世界史を学ぶことは、年代、人名、地名の細かい知識を増やしていくことだと思われているかもしれませんが、それは誤解です。世界史専修での学びは、「覚える」ことよりも「考える」ことが基本にあります。すなわち、自分の興味のあるテーマについて探究することが中心になりますから、必要な知識は自然に身についていくものです。その意味では、受験勉強で世界史を学んだ人とスタート地点は大きく変わりませんので、これまで世界史になじみのなかった人や高校の世界史が苦手だったという人でも、世界史上のなんらかの事象に関心があれば無理なく学んでいけます。

Q.歴史というよりも世界の文化に関心があるのですが、世界史専修で学ぶことはできますか?

A.歴史学とは過去に起こった現象を時間軸で位置づけて考察する学問ですから、工夫次第で人間のあらゆる営みを研究対象にすることができます。建築史や科学史、日常生活史などさまざまな「○○史」があることからもわかるように、歴史学は多様な分野と交わる学際的で柔軟な性格を持っています。そうしたさまざまな分野を包み込んだ歴史学のなかでも、世界全体の歴史を対象にする世界史は特に間口の広い領域であり、過去の人類文化のすべてを扱うといっても過言ではありません。世界史専修の学生がどんな研究テーマを選んでいるかについては、「卒業論文」のページも参考にしてください。

専修分属について

Q.2年次から世界史専修に分属するためには、なんらかの試験や条件をクリアしなければなりませんか?

A.文学部のどの専修でも、最大受け入れ人数までであれば、希望者全員を受け入れています。世界史専修の最大受け入れ人数は63人です。これを超えた場合には、世界史専修が開講している 「学びの扉」と「知へのパスポート」の成績や、春学期の全履修科目の成績を用いて、総合的に判断します。

Q.世界史専修へ進むためには、世界史専修が開講している「学びの扉」と「知へのパスポート」を1年次のうちに必ず履修しておかなければなりませんか?

A.「学びの扉(世界史)」と「知へのパスポートa(世界史)」「知へのパスポートb(世界史)」の履修は、専修分属の前提条件ではありません。このうち1科目しか履修していない、あるいはいずれの科目も履修していない場合でも、世界史専修への分属を希望することはできます。ただし、これらの科目は、世界史専修の学びを知るうえで、大いに参考になる科目です。また、専修の最大受け入れ人数より多い希望者が集まった場合には、これらの科目の成績を選考基準にしていますので、世界史専修への分属を考えている方には、履修を強くすすめます。

資格・進路について

Q.世界史専修でとることのできる資格はありますか?

A.世界史専修では、他の専修と同様、教員免許や学芸員、司書などの資格取得が可能です。とくに、中学の社会科や高校の地理歴史科(地歴科)の教員免許については、世界史専修のなかに関連する科目が多数設けられています。これまでも多くの先輩が教員免許や学芸員の資格を取得していますので、関心のある方はぜひ挑戦して下さい。教職志望者のなかには、大学院に進学して専修免許を取得する人もいます。教員免許や教職について詳しく知りたい方は、教職支援センターのHPも参考にしてください。

Q.世界史専修を卒業すると、どのような進路が考えられますか?

A.進路については、例年民間企業に進む人が比較的多いですが、業種に特定の傾向はありません。また、研究をさらに深めたいという人は大学院へ進みます。世界史専修で身につけた視野の広さやスキルは、教職、公務員、民間企業への就職、大学院進学、海外留学など、あらゆる場面で活かすことができるでしょう。就職についてはキャリアセンター、留学については国際部のHPも参考にしてください。