ITE Transactions on Media Technology and Applicationsに論文が採録されました

当研究室の論文がITE Transactions on Media Technology and Applicationsに採録されました。

T. Abe, S. Yoshida, and M. Muneyasu: Dynamic Graph Convolutional Network with Time-Series-Aware Structural Feature Extraction for Fake News Detection, ITE Transactions on Media Technology and Applications, vol. 13, no. 1, pp. 106-118, Jan. 2025 DOI: 10.3169/mta.13.106

概要

この論文は、SNS上で拡散するフェイクニュースを検出するための新しい手法を提案しています。フェイクニュースはSNS上で急速に拡散し、社会的影響を与える重大な問題です。本研究では、ニュースの拡散パターンを動的グラフとして表現し、時系列情報を直接取り入れた構造的特徴抽出を行うDynamic Graph Convolutional Network(動的グラフ畳み込みネットワーク)を開発しました。

従来の手法では構造的特徴抽出と時系列特徴抽出が別々に行われていましたが、提案手法では時間依存の重みを持つ動的GCNを導入し、ニュース拡散構造の時間的変化をより効果的に捉えることができます。実験の結果、提案手法は従来の手法と比較して高い検出精度を達成し、特に拡散初期段階での検出精度が向上しました。この研究は、SNS上の情報拡散分析やフェイクニュース対策に貢献する技術です。

R. Fukunaga, S. Yoshida, R. Higashimoto, and M. Muneyasu: Enhancing Robustness to Noisy Labels by Explicit Disentanglement of Similar Classes in Feature Space using Contrastive Learning, ITE Transactions on Media Technology and Applications, vol. 13, no. 1, pp. 91-105, Jan. 2025 DOI: 10.3169/mta.13.91

概要

この論文は、ノイズラベル(誤ったラベル)を含むデータセットでの画像分類の精度向上手法を提案しています。機械学習モデルの訓練には大量の画像データが必要ですが、クラウドソーシングや検索エンジンから収集したデータには誤ったラベルが含まれることが多く、これがモデルの性能低下を招きます。

提案手法は、対照学習(contrastive learning)を用いて、特徴空間で類似したクラスを明示的に分離します。まず、クラス間の類似性を計算して似ているクラスを特定し、次に新しい損失関数を導入して類似クラスのサンプル特徴を特徴空間で分離します。これにより、従来の手法では解決できなかった類似クラスの混合問題を解決します。

CIFAR-10、CIFAR-100、WebVision、Clothing1Mなどのデータセットでの実験により、提案手法は様々なノイズパターンのデータセットで高い精度を達成し、特に高いノイズ率での性能向上が顕著であることを示しました。この研究は、ノイズを含むデータセットでの画像認識モデルの訓練精度向上に貢献します。