IEICE Transactions on Fundamentalsに論文が採録されました

当研究室の論文がIEICE Transactions on Fundamentalsに採録されました。

R. Yoshida, S. Yoshida, and M. Muneyasu: Embedding Learning with Relational Heterogeneous Information in Social Network Posts to Detect Malicious Behavior, IEICE Trans. Fundamentals, vol. E108-A, no. 3, pp. 295-303, Mar. 2025 DOI: 10.1587/transfun.2024SMP0004

概要

この論文は、SNS上の悪意のある投稿を検出するための新しい手法を提案しています。現在のSNSでは自由な意見交換が可能になる一方で、ヘイトスピーチや攻撃的発言、誤情報の拡散などの悪意ある投稿が問題となっています。

従来の手法では投稿テキストの意味解析が中心でしたが、本研究では投稿の文脈情報を利用するため、ユーザー、投稿、ハッシュタグ、エンティティなどの多様な要素を含む拡張異種グラフを構築しました。さらに、異種グラフトランスフォーマー(HGT)を活用して異種情報の関係性を効果的に学習する新しいアーキテクチャを開発しました。

COVID-19ワクチンに関する実際のSNSデータを用いた実験により、提案手法が従来手法と比較して悪意ある投稿の検出精度を大幅に向上させることを示しました。この研究は、SNSプラットフォームにおける安全性向上と健全なコミュニケーション環境の維持に貢献します。

S. Yoshida, N. Yatoh, and M. Muneyasu: Aesthetic Evaluation of Chinese Calligraphy Using TabNet: Interpretability and Novel Features for Improved Accuracy, IEICE Trans. Fundamentals, vol. E108-A, no. 3, pp. 357-361, Mar. 2025 DOI: 10.1587/transfun.2024SML0003

概要

この論文は、中国書道の美的評価における人工知能の応用に関する研究です。中国書道は文化的に重要な芸術形式ですが、その美的価値を客観的かつ解釈可能な方法で評価することは難しい課題です。

本研究では、深層学習手法であるTabNetを活用し、従来の22個のグローバル形状特徴に10個の新しい特徴を追加して、書道作品の美的評価の精度と解釈可能性を向上させました。TabNetの特徴選択機能により、予測に寄与する重要な特徴を特定できるため、評価結果の理由を明確に説明することが可能になりました。

中国書道美的評価データベース(CHAED)を用いた実験では、提案手法が従来の回帰モデルと比較して優れた精度を達成しました。さらに、TabNetの解釈可能性により、書道評価において重要な特徴(文字のバランス、ストロークの密度など)を特定することができました。この研究は、芸術評価における人工知能の応用に新たな視点をもたらします。