卒業論文発表会、追いコン、そして卒業式

出張中の移動に何をするか。本を読むのも良いけれど、私の場合、溜まったブログを消化する良い機会になる。
過去の出来事を思い出しながら、未来に繋げるために今日も文章を書いていこう。

令和の時代を象徴する卒業論文発表会

2023年1月30日に開催された卒業論文発表会では、学生たちが人権や平和を根底に備えた教育学研究を発表しました。それぞれのタイトルは、決して教育哲学研究・教育思想史研究といった私の研究室の対象領域に限定されるものではなく、幅広い関心から行われました。

・時代の変化に合わせた応援団の軌跡を辿る-大学応援団での経験を通して-

・子どもにとっての学校という場の必要性-コロナ禍を経て-

・大学生へのキャリア教育実践における諸課題-学生の実態や実践例をもとに-

・アタッチメントが子どもにもたらす影響-愛着形成の教育的意義に着目して-

・不登校児童生徒への教育的支援-フリースクールでの教育実践の意義とは-

・子どもの食習慣を改善するために用いられた食育実践の検討-石川県の食に関する指導プログラムの実践事例を通して-

・教室における自治的集団の成立-吉本均の「学習集団」論と1970年代の学習集団論争に着目して-

・日本社会の貧困問題にかかる経済格差問題-教師と学校の在り方および役割に着目して-

・学校によるケアリングに基づいた教育実践-カリキュラムの再構成の必要性について-

・貧困とされる子どもの教育格差からの脱却-親の学歴と所得ならびに貧困と教育格差の現状に着目して-

・帰国子女における教師像の考察-帰国子女への教員のサポート支援の観点から-

彼らの論文は多様な文化や価値観を尊重し、互いの違いを大切にする精神を示していたように思います。学生たちが自分たちの考えを明確に表現し、他者への理解を深めるために、私にできたことは決して多くはありませんでしたが、置かれた環境で力を尽くそうとする学生らの努力を感じ取ることができました。

次世代へのバトンタッチ

発表会が終わった直後に開催された追いコンでは、3回生から4回生への愛情があふれる温かい雰囲気に包まれました。こういう場面で垣間見られる、学生の教室では見せない一面は、教員にとっては本当に宝だと思います。教室では往々にして、教員がみているものと学生がみているものは異なります。彼らが物事をどのように眼差しているのかを知りたいといつも思っているのですが、ついつい自分の世界を提示するにとどまってしまいます。しかし、追いコンのような場では、彼らが自分たちのもつ素晴らしい世界を得意に披露してくれます。これを大学の教室でも再現できれば、と思わずにはいられませんでした。

追いコンでは、学生たちの間に強い絆が築かれており、次の世代へ引き継ぐバトンタッチが感じられました。この場には、若者たちの明るい未来への期待と希望が詰まっていたように思います。

卒業式:人生の新たな門出へ

2023年3月20日に行われた卒業式では、今年はもう桜が咲いていました。

教員になる人もならない人も、自分の能力が発揮される場所を見つけ出し、希望を持って生きていってほしいと強く思います。卒業生たちはこれから異なる道を進むでしょうが、それぞれが自分の力を信じ、夢を追い求める姿勢が求められることでしょう。

卒業論文発表会、追いコン、そして卒業式を通して、学生たちの成長と彼らが次のステージへ進む準備ができたことを実感しました。他方、教員としての自分の能力不足を痛感した一年でもありました。

彼らが自分の道を見つけ、希望に満ちた人生を送ることを心から願っています。