ドイツ・イギリス渡航(2022.11.05-16)

3年ぶりの海外出張でドイツ・イギリスを訪れました。

当初の予定とは変わり、11月上旬〜中旬の滞在となり、下記の場所を訪問しました。詳細は報告書や今後の研究に反映させるとして、本ブログには概要を残します。面白い話や写真が山ほどあるのだけれど、コンプラの関係でブログにはあまり載せられないのが残念。

11/07 デュッセルドルフ日本人学校訪問

→3度目の訪問。校長先生、教頭先生と懇談ののち、小学部第2学年のドイツ語の授業を見学し、施設をご案内いただいた。日本人学校を取り巻く環境の変化、採用についてなど多岐にわたって情報交換をさせていただいた。

11/08 ドイツ国際平和村

→アフガニスタンからのアインザッツの直前のため、子どもたちとは交流せず本部にて情報交換を行った。ゼミでの訪問や交流の可能性について具体的なご提案をいただいた。↓写真はスタッフの中岡さんと、ドイツに留学中の神戸女子大学時代の学生の山下さん。中岡さんには今年勤務校の人権教育でゲストスピーカーとしてご登壇いただいた。山下さんも元気そうで本当に何より。

11/10 BBS(Berufsbildende Shulen)Ⅱ(職業専門学校)

→施設見学や学校長との懇談を行った。今後、授業を研究する枠組みの研究や、ドイツのICT環境に関する共同研究などについて必要な場合はご協力いただけるとのこと。日本とは異なるところも多いドイツの学校教育システム。教師教育の視点も非常に興味深い。

エーベルト先生との再会↑

一緒に訪れた松田先生とBBSⅡの校長先生↓

↓Ausbildung(就業のために必要となる理論と実務を並行して学ぶというコンセプトの教育システム。ドイツ・オーストリアなどヨーロッパの一部の国にしかない。古くから行われていた師弟制度が起源となっている)中(?)の先生。工場で利用するロボットアームの操作を教える練習の最中だった。今回のドイツ渡航でよく耳にしたのがIndustry4.0。(第四次産業革命: The Fourth Industrial Revolution, Industry 4.0)。職業専門学校では社会の変化により影響を受けやすい。そういえばNHKで、ドイツは業態転換、リスキリングを国家主導で推進していることが取り上げられていた。

参考までに第四次産業革命までの産業革命をメモ。日本は第二次産業革命で大成功したため、教育システムもここに引きずられている。また、第三次産業革命の際、移行がスムーズに行かず、経済の低迷の原因をここに求められることがしばしばある。

第一産業革命→18世紀半ばから19世紀にイギリスで始まった産業革命。水力と蒸気をエネルギーとして織物業、鉄鋼業が飛躍的に発展し、蒸気船や鉄道による交通革命が興った。

第二次産業革命→19世紀後半から20世紀後半までの産業革命。電気をエネルギー源として大工場の大量生産システムが成立し、重化学工業も発展。

第三次産業革命→1980年代以降のIT革命。コンピュータの開発と普及によりデジタル化が進み、再生エネルギーの開発も進行。GAFAMに象徴される。

第四次産業革命→AIとロボット、あらゆるモノを繋ぐインターネット(IoT)とビックデータをはじめ、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、再生可能エネルギー開発などによって遂行される産業革命。

11/10 KITA(Kindertagesstätte)(幼稚園・保育園)

→施設見学や園長先生との懇談を行った。ドイツでは保育園と幼稚園の違いは明示的ではない。というのも、日本のように、幼稚園は文科省、保育園は厚労省といった管轄の違いがなく、ドイツではすべての保育施設は、Jugendamt(少年局)の管轄になっている。3歳以下の乳児保育施設は Krippe(クリッペ)。お昼寝についてや、慣らし保育について、また保育者のマインドや採用、おもちゃ、園舎、給食などなど多岐にわたる質問に答えていただいた。

11/11 Grundschule Grüner Weg Emden(小学校: 6〜10歳)

→クルト先生にご案内いただき、施設見学、1年生のドイツ語の授業の参観、校長先生との懇談を行った。ドイツも移民を受け入れる政策を取って久しく、校長先生は「Weの範囲を子どもたちと考えることが難しくなっている」と言っていた。クラスの中にドイツ語を解さない子どもが4人いた(1クラスは最大24名)。ドイツ語を第二言語として学ぶ授業(DaZ)も見学した。

エーベルト先生、クルト先生とはオスナブリュック留学以来の付き合いで、duzenでしゃべる仲。今回の学校見学でもとてもお世話になった。 形成的介入研究や授業を研究する枠組みの研究の準備は、ほぼほぼ整ったと言える。それもこの二人の先生のおかげで、大学を通して上から現場に入るより、今回のように現場で働く先生のご紹介で現場に入った方が懇意かつ生きた現場が見れたように思う。

11/13-15ロンドン・オックスフォード

11/14 オックスフォード大学

↓ブルーナーの名を冠した教育学部の建物。

→Prof. Daniels, Associate Prof. Thompsonへのインタビュー。二人はExcluded Lives: the Political Economies of School Exclusionという研究プロジェクトの共同研究代表者。2019年10月から2023年3月までの非常に大きな研究プロジェクト(5年間で約4億円)。左から山田、トンプソン先生、ダニエルズ先生、山住先生。ダニエルズ先生のご著書は現在読書会にて輪読中。ちゃっかりサインも頂いてしまった。

インタビューの詳細は活動理論学会の英語雑誌ACTIOおよび『活動理論研究』に掲載予定です。