ミュー粒子によるワイヤレスセキュリティ技術-暗号鍵を送受信者間で一切やりとりしない超高セキュリティワイヤレス通信技術の開発に成功-東大田中宏幸らプレスリリース2023.1.11

<リリースより抜粋:COSMOCAT について>
 ミュー粒子は、銀河系における超新星爆発などの高エネルギーイベントによって加
速される宇宙線と、地球大気が反応してできる素粒子の一つである。ミュー粒子は透
過力が強く、あらゆる人工構造物をほぼ真空中の光速度で貫通することができる。ま
た、銀河系の磁場に何百万年間もの間捕捉され続けてきた宇宙線が少しずつ地球に染
み出してきてミュー粒子が生成されることから、ミュー粒子の地球への到着時刻は真
性乱数である。送信者はミュー粒子を検出することで、その検出時刻を暗号鍵として
文書をエンコードする。一方、受信者は同一のミュー粒子を別の場所で検出すること
でその検出時刻を保存する。受信者は送受信者間の距離からミュー粒子の飛行時間を
正確に計算することができるので、暗号鍵の物理的なやりとりなく、文書をデコード
することができる(図1)。更に、ミュー粒子が地表へ到着するタイミングには極め
て高い任意性があり、到着時刻をピコ秒精度で記録することで、到着時刻そのものを
10 桁以上の真性乱数から成る暗号鍵として取り扱うことが可能である。ミュー粒子の
速度は屋内、屋外、地上、地下問わず同じ速度が担保されているので、地球上いかな
るところでも COMOCAT を実施することが可能である。

COSMOCATプレスリリース 2023.1.11.

論文 2023.1.4.