サイエンスアゴラオンライン講義「魅力ある科学ミュオグラフィをアートで描く!」講師:角谷賢二・中島裕司

最先端科学技術(ミュオグラフィ、AR・VR・CGなど)と芸術(アート)を融合させた新たな分野である『ミュオグラフィアート』を紹介した。ミュオグラフィアートをきっかけとして、老若男女を問わず多くの人に最先端科学に興味を持っていただき、それが科学への理解や感動へとつながることを目標としている。また、特に若い世代には、科学やアートをより身近に感じ、将来の選択肢を広げるきっかけになればと思い、活動していることを伝えた。

日時:2022.10.22(土)10:00-11:30
場所:オンライン
全体主催:科学技術振興機構(JST)
セッション主催:駐日ハンガリー大使館
講義:角谷賢二、中島裕司
内容:
1.開会挨拶:駐日ハンガリー国 特命全権大使 パラノビチ・ノルバート(代読)
2.ミュオグラフィのやさしい科学的説明 角谷賢二
3.ミュオグラフィアートの説明 中島裕司
4.コンピューターグラフィックスを含むビデオの紹介 角谷賢二
5.オンライン参加者との対話 質疑応答
参加者:登録64名、視聴者44名
講義者二人の感想:

若い世代の科学離れが進み、さらにアートを単なる趣味と捉えるような風潮がずっと続いてきたことは、今後の日本にとってすごく憂慮すべきことである。この状況が続けば日本はあらゆる分野で世界をリードするどころか、遅れを取ることになる。アートと科学はイマジネーションを根幹とするという意味でも、根が同じであり、両者が相まって成長することは非常に重要なことである。

ミュオグラフィの認知度を上げる必要性。ミュオグラフィをアートにより、多くの一般人に知らしめることは重要である。同時にアーティストが持つ非凡な発想、アイデアがミュオグラフィ研究を含めた多くの科学者にユニークな発想力を想起させることにより限界を超えた科学の発展が期待できる。閉塞感に満ちている今の日本の社会が、大きくパラダイムシフトが起こり、科学、アートが発展的方向に進むような社会を目指したい。

ミュオグラフィで、火山、古墳、原子力発電所、ピラミッド等巨大物体の内部透視が可能なことが分かってきた。昨年には、ミュオグラフィ分野での第一人者である東京大学国際ミュオグラフィ研究機構の田中宏幸教授が海底にミュオグラフィ探知機器を設置して位置決めができるμPSの研究や東京湾アクアライントンネル内にミュオグラフィ装置を設置して潮位測定ができる海のミュオグラフィ研究が進められている。また、ごく最近(2022年10月)ミュオグラフィにより台風の温暖核を捉えることにも成功している。風水害大国、地震大国、火山大国の日本の未来の安全には非常に重要な研究である。

日本とハンガリーはミュオグラフィ研究で世界をリードしてきているので、今後共同研究を通して人類に平和や安全のために科学のさらなる発展に挑戦することを期待している。アートの力も偉大であり、科学とアートの癒合によって両者は大きく進歩するであろう。数年前から提唱されているSTEAM教育に関する質問も出て、やはりミュオグラフィアートもその一端を担い人材育成にも必要性を感じる。


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