井浦 崇 Takashi Iura(関西大学総合情報学部教授)

メディアにおける情報発信や感覚表現の可能性が拡がりを続ける一方で、メディア技術と人間の感性の間には隔たりが生まれます。その隔たりを越えるために映像・音響表現の双方を用いて取り組んでいるテーマが、視覚と聴覚の相互作用です。各感覚同士の関連性や相互作用については、数値で置き換えることの難しい知覚体験と経験に基づく記憶が複雑に関係しているために、論理的な分析と評価に加えて、感性による判断基準が必要となります。そこで視覚・聴覚を巡る芸術・科学や文化をふまえたうえで、実験的表現を通して各感覚の枠組みを越えた表現の可能性を探っています。視聴覚の相互作用の体験を引き出すためのツールを作り、映像や音楽の表現領域の横断を試みています。