部活動の大会中止に関わって、中学生・高校生に伝えたいこと

 コロナウィルスによる感染症の影響で、様々な部活動の大会が中止になっています。大会を目標に努力してきた君たちの心情を考えると、私も胸が痛みます。

 このことに関わって、私は1つ気になることがあります。様々な大会の中止は、運営に関わっている大人や先生が決めたことですが、皆さんの気持ちはどうだったのかということです。大会をやりたかった、コロナウィルスが怖いからやむを得ない…色々な気持ちが入り交じっていたことでしょう。そのような君たちの気持ちは、あまり取り上げられてこなかったように思えるのです。

 もし、君たちの中で「大会をやりたかった」という人がいたのであれば、あきらめる必要はないのだと思います。理由は、2つあります。

 1つめは、大会の主人公は「君たち自身」だからです。大会は、プレイヤーである君たちがいないと成立しません。そうであれば、君たちの思いや願いが、最大限、尊重される必要があります。 

 2つめに、そもそもスポーツの大会は、クラブ間の手紙のやり取りや話し合いに基づいて行われていました。いつ、どこで、どのようなルールや条件で競い合うのかを、試合をする当事者たちで話し合って決めていたのです。そのような大会やクラブの歴史から見ても、君たちの意見は尊重されるべきだと言えるでしょう。

 私は、これらの理由から、君たちが望むような大会を実施して良いのだと考えます。ただ、勘違いをして欲しくないのは、コロナウィルスによる感染症の問題が深刻化するなかで、無理をして大会を開けば良いというのではありません。大切な事は、この問題が終息化したときに、どのような大会を開くのか、開きたいのかという、君たちの思いや願いです。今、抱えている君たちの怒りや悔しさ、そして、音楽、芸術、スポーツといった文化を愛する気持ちを、どのような大会で表現していくのか。どれくらいの学校を集めて、どこで、どのようなルールで実施したいのか、それは、どうすれば実現できるのか。これらのことを考え、君たちの言葉で発信していくのです。

 部活動を英訳すると「クラブ」という単語です。この単語の語源には「自治」や「社交」といった意味が含まれています。みんなで意見を出し合って、運営していくのが、そもそものクラブ・部活動なのです。

こんな時だからこそ、声を上げよう!

2020/04/26

関西大学 神谷拓

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