研究テーマ

SNSの投稿、ニュース記事、ECサイトの商品画像・レビュー・購買履歴など、非構造的なメディアデータは今この瞬間にも膨大に生み出されています。当研究室は、機械学習・情報検索・計算社会科学を3本柱として、これらのデータから人と社会に役立つ知見を導く知的技術の創出に取り組んでいます。


機械学習

現実のデータは、ラベルの誤りや分布の偏り、ドメインの違いを常に抱えています。本研究室では、誤りを含むラベルから学習するノイジーラベル学習と、新しいデータを学びながら以前の知識を忘れずに済ませるインクリメンタル学習を中心課題とし、条件の整わない環境でも安定して機能する深層学習モデルの構築を進めています。あわせて対照学習・半教師あり学習・ドメイン適応・マルチモーダル学習などを組み合わせ、実用に耐えうる信頼性の高いモデルを追求しています。こうした成果は情報検索・計算社会科学に展開されるほか、古文書中の手書き文字認識や書道作品の美的評価といった文化・人文分野の課題にも取り組んでいます。


情報検索

必要な情報が必要なタイミングで届く仕組みを実現することは、単純ではありません。ユーザーが明示的に好みを伝えない場面でも意図を捉え、精度と多様性を両立した推薦を行うことが求められます。当研究室では、日々の行動の記録から好みを読み取る手法や、ソーシャルメディア上でのユーザー推薦に加え、映画と書籍のように異なる分野をまたいで嗜好の知識を活用するクロスドメイン推薦に取り組み、利用履歴の少ない領域でも精度を保つことを目指しています。また、一部の人気アイテムに偏る人気バイアスの緩和や、大規模言語モデル(LLM)を用いて嗜好や状況を言語として捉える推薦、複数人の好みを調停するグループ推薦へと研究を広げています。


計算社会科学

ソーシャルメディアは、人々の行動・意見・関係性が可視化された巨大なデータ源です。当研究室では、こうしたデータを計算的に分析することで、オンライン上の社会現象の解明に取り組んでいます。フェイクニュースの早期検出・有害発言の識別・悪意ある行動の検出といった情報環境の健全化に関わるテーマから、ネットワーク上で大きな影響力を持つインフルエンサーの特定まで、幅広い問いを扱っています。投稿内容・拡散パターン・ユーザー間の関係など多角的な情報を組み合わせた分析を通じて、オンライン社会の理解に貢献することを目指しています。