IEEE Accessに論文が採録されました

当研究室の論文がIEEE Accessに掲載されました。

R. Yoshida, S. Yoshida, and M. Muneyasu, “MAHGA: Multi-Aspect Heterogeneous Graph Analysis for Harmful Speech Detection on Social Networks,” IEEE Access, vol. 13, pp. 106673-106689, Jun. 2025, DOI: 10.1109/ACCESS.2025.3581214

概要

この論文は、ソーシャルメディア上の有害コンテンツ検出における新たなグラフ解析手法を提案しています。
従来の有害投稿検出手法は主にテキスト内容のみに依存しており、投稿間の関係性やユーザーの相互作用、画像などの多様な情報を十分に活用できていませんでした。また、既存のグラフベース手法では、ハッシュタグや絵文字などのユーザーが意図的に使用する要素と、自動抽出された実体や話題などの暗黙的要素を同一のグラフ内で統一的に扱うため、それぞれの特性を十分に捉えられていませんでした。
本研究では、投稿の構成要素を「明示的要素(ハッシュタグ、絵文字、メンション)」「暗黙的要素(エンティティ、トピック、URL)」「画像情報」の3つの観点に分類し、それぞれに特化した異種グラフを独立構築するMAHGA(Multi-Aspect Heterogeneous Graph Analysis)フレームワークを開発しました。さらに、各グラフから学習された特徴量の独立性を保つため、ピアソン相関係数を用いた相関ベース損失関数を導入しています。
COVID-19ワクチン関連の日本語ソーシャルメディアデータを用いた実験では、従来の最先端手法と比較して約2-3ポイントの精度向上を達成しました。アブレーション研究により、3つの観点それぞれが相補的な情報を提供し、特徴量独立性制約が性能向上に重要な役割を果たすことが確認されました。この成果は、ソーシャルメディアプラットフォームにおける有害コンテンツの自動検出システムの精度向上に貢献します。