土木学会誌2022年9月号寄稿「創設水道の浄水場見学―奥平野浄水場と蹴上浄水場―」

今月12日~16日にかけて、京都にて、「令和4年度土木学会全国大会」が開催されます。
(開催情報:令和4年度 土木学会全国大会サイト

それに合わせて、土木学会誌2022年9月号では、
「「文明化された社会」をこえて―土木學のめざすもの―」という特集が組まれています。
(記事は学会員限定です
 公益社団法人土木学会 土木学会誌 学会誌2022年9月号 (jsce.or.jp)
その特集の一環で、「創設水道の浄水場見学―奥平野浄水場と蹴上浄水場―」という記事を寄稿しました。

この特集の趣旨については、詳しくは学会誌をご覧いただければと存じますが、簡単にご説明します。

実は、この土木学会全国大会は、1936(昭和11)年に第1回が京都で開催されて以来、
令和4年度で第77回目となる、歴史あるイベントです。
第1回大会が開催された、今から90年弱前の日本では、社会の目指すもの、
そして土木という分野のあり方が、現在とは大きく違っていました。

土木学会誌2022年9月号では、その違い、
すなわち「文明化」を目指していた当時と「文明化」された後の現代の違いを感じて頂こうということで、
第1回大会に付随して開催された「現場見学会」の訪問先の
当時と今を比較できるような記事構成になっています。なかなかお洒落な企画ですよね。

林が担当したのは、「現場見学会」で訪問された二つの浄水場、
神戸市の「奥平野浄水場」と、京都市の「蹴上浄水場」の、昭和11年当時の状況です。
上水道に関しては、これまで研究してきたわけではなかったので、
今回の特集のテーマである「文明化」を念頭に置いて、両浄水場の歴史を学んでいきました。

…すると見えてきたのは、当時の社会の急速な都市化、すなわち給水人口の増加のカラクリと、
それに対応するために奔走する現場の姿でした。
水道設備を増強し、あるいは節水で急場をしのぎ、新しい計画を立て、
都市の膨張に対応しようとしていた様子は、今日ではなかなか想像できません。

2ページで歴史ある2つの浄水場を総括するという、かなり厳しい制約があったため、
紙面に掲載できなかった情報もたくさんありましたが、
上記の時代観を、記事から少しでも感じていただければ幸いです。
また、現代の浄水場の運用については、神戸市水道局様、京都市上下水道局様からの解説記事もありますので、
合わせてお読みいただければ幸いです。

(林)