8/31(土)講演「鴨川『山紫水明』の風景はいかにつくられたか」(京都学・歴彩館府民協働連続講座)


令和元年度京都学・歴彩館府民協働連続講座の第8回(主催団体・鴨川運河会議)
http://www.pref.kyoto.jp/rekisaikan/documents/humin.pdf(講座紹介資料リンク)
で、林が講演を行いました。

講演タイトルは、「鴨川『山紫水明』の風景はいかにつくられたか」。
既発表論文「近代の都市河川―『山紫水明』の風致と鴨川の整備」(『日本風景史』所収)の内容、
そして近年、当研究室で取り組んでいる研究内容(戦前の河川改修における風致保全の設計、戦後の河川改修)を交えて、
明治から現代にかけて、110年わたる鴨川改修における風致の議論と風景美生成過程をお話ししました。

かなり大きいハコで、90分間という長丁場、
しかも話の内容は盛りだくさんで心配して居ましたが、非常に楽しい講演会でした。

普段、研究で私自身も研究室学生もお世話になっている、京都府立京都学・歴彩館で講演ができたこと、
資料の捜索や閲覧許可をいただいた京都府河川課、京都府京都土木事務所の方に
ある程度まとまった研究成果をお聞きいただけたことに感謝し、
そのような機会を与えてくださった鴨川運河会議の皆さんに、厚くお礼を申し上げたいと思います。

講演が終わった後、たまたま歴彩館内でお会いした初老のご夫婦が、
わざわざお声がけくださって、こんな風に仰っていました。

「今日の話はとてもよかった。感動した。
でも欲を言えばもっと、北の賀茂川の風景の話をしてほしかったよ。
私はいつも、北山橋から北山の風景を見ると、これは本当に素晴らしいと思う。
通行人から景観代を取りたいくらいや。
『橋の上で振り返ったら100円』みたいな(笑)
そのくらいの価値があるもんやと思てる。
きっとあの風景を守るためにも、様々な方々の頑張りがあったんやろうなと思って感動した。
今度はそっちの話を期待してます。おきばりやす」

終了後、京産大の鈴木先生はじめカッパ研究会の方々ともお話が出来て光栄でした。
戦後の鴨川の整備は、まだかかわった方がたくさんいらっしゃるので、
もっとお話しして教えていただきたい気持ちです。
そのためにはまず私が勉強しなくては。。。

鴨川(賀茂川・高野川も)ファンは、住民の方にも、行政の方にも、研究者にも、
色んな所にいらっしゃって、なんだかうれしくなっちゃいますね。

先のご夫婦の奥様に、

「しかしあなた、本当に楽しそうにお話になっていいわね!」

と褒めていただけたのが、本日最大の自慢です。
先ほどのご夫婦にもっと褒めていただけるよう、
もう少し上流側の研究も、なんとか進めていきたいと思います。(林)