a)金属・酸化物,磁性ナノ粒子を用いたSALDI-MS
無機ナノ粒子やナノ構造表面を有するプレートがパルスレーザーを吸収し,その作用により試料分子を間接的に脱離イオン化するSALDI-MS。有機マトリックスを用いないために,m/z 500以下のマトリックス由来のピークの影響が少なく,低分子化合物の測定が得意としています。
b)イメージグ質量分析(MSI)のためのナノ材料
質量分析イメージング(MSI)は、試料表面の分子の分布が見える手法として, その応用が急速に拡大しています。その対象も, 生体分子を始め合成高分子などの有機分子物から, 金属原子などの無機物まで幅広い化学種の可視化が求められています。当グループと北陸先端科学技術大学院大学(JAIST) 大坂グループの共同研究チームでは, 新しく考案した白金スパッタ蒸着法や金属ナノ粒子を用いた質量分析イメージング(SALDI-MSI)に取り組んできました。本手法は, 絶縁性の高分子材料の質量分析イメージングにも適用できる特徴を有しています。更に、質量分析イメージングと表面増強ラマン(SERS)を組み合わせた連携イメージング分析法の開発にも取り組んでいます。
<発表論文>
Kawasaki et al. J. Phys. Chem C 111, 16278 (2007)
Kawasaki et al. Anal. Chem. 80, 7524 (2008)
Kawasaki et al. Anal. Bioanal. Chem. 395, 1423 (2009)
Kawasaki et al. Chemistry – A European Journal 16, 10832(2010)
M. Inuta, et al. Analyst 136, 1167(2011)
Kawasaki et al. Anal. Chem. 84, 9268 (2012)
Nitta et al. J. Phys. Chem. C 117, 238(2013)
Nitta et al. ACS Appl. Mater. Interfaces 6, 8387(2014)
Kurita et al. Analyst 141, 5835 (2016)