a)生体分子保護金/銀ナノクラスターの合成と蛍光分析法への応用
タンパク質と塩化金酸との複合体を加熱還元することで、種々の蛍光性のタンパク質保護金クラスターの合成できることを見出しました。例えば,ペプシン(胃の消化酵素)を用いた場合、合成時のpHを変化させるだけで、赤、緑、青の3色発光を実現しました。蛍光性金ナノクラスターの蛍光分析法として,環境分析としての重金属イオンの検出,血液中のグルコース濃度の決定,炎症バイオマーカー(CRP)の高感度検出(関西大化学生命工 岩﨑教授との共同研究)できることを見出しました。
<発表論文>
ペプシン:Kawasaki et al. Adv. Funct.Mater. 21, 3508(2011)
トリプシン:Kawasaki et al. Anal.Sci. 27, 591(2011)
ヒト血清アルブミン:Sakanaga and Inada* et al. Applied Physics Express 4, 095001(2011)
卵白アルブミン: Yoshimoto et al. Chem. Lett. 43, 793(2014)
リン脂質類似分子(MPC) Yoshimoto and Iwasaki et al. J. Phy. Chem. C 119 , 14319(2015)
b) 金/銀ナノクラスターの光・音増感作用と光殺菌治療法への応用
当研究グループとカーネギーメロン大学(米国)のJin教授の共同研究チームは,金25量体金クラスターの光増感作用によって、可視光・近赤外光照射により、金クラスターが酸化力の強い一重項酸素を生成することを、見出しました。北海道大学大学院歯学研究科 歯周病再生治療研究グループの宮治裕史医師との共同研究で,この特性を利用した歯周病治療のための光殺菌治療法(a-PDT)について研究を進めています.金属クラスターは、メチレンブルーなどの従来の有機光増感剤に比較して幅広い波長で光励起が可能なため,白色LEDや青色LED歯科重合用光照射器で殺菌できる新しい光増感剤です。
<発表論文>
Changlin et al J. Phys. Chem. Lett. 4, 2847(2013)
Kawasaki et al., Chem. Mater. 26, 2777(2014)
Yamanoto et al., J. Lumin. 180, 315-320(2016)
Miyata and Miyaji* et al., Int. J. Nanomed. 12, 2703(2017)
Yamamoto et al., J. Colloid. Interf. Sci. 510, 221(2018)
Hikosou et al., J. Phys. Chem. C 122, 12494(2018)
Kawamura et al., J. Phys. Chem. C, 122, 12494(2019)
[Review] Kawawaki et al., Nanoscale Advances, 2,17(2020)
Shitomi et al., Photodiagn. Photodyn. Ther. 30, 101647(2020)
Okamoto et al., ACS Omega 6, 9279(2021)
Kawamura et al., J. Chem. Phys. 155, 124702(2021)
Yagi et al., J. Phys. Chem. C., 126, 19693 (2022)
c) 銀ナノクラスターの合成と新規抗菌コーティング剤への応用
銀ナノクラスター等の無機系抗菌剤と有機系抗菌剤を複合化することで、抗菌能を付与する有機無機ハイブリッド型抗菌剤の開発を進めています。
<発表論文>
Tominaga et al. RSC Adv. 6, 73600(2016)
Sangsuwan and Iwasaki* et al. Colloids and Surfaces B: Biointerfaces 140, 128(2016)
Sangsuwan and Iwasaki* et al. Bioconjugate Chemistry 27, 2527(2016)
Tominaga et al. ACS Appl. Nano Mater. 1 , 4809(2018)
H. Miyaji et al., Scientific Reports, 12, 16721 (2022)
d)金属ナノクラスター・ナノ粒子の触媒応用
当グループと関西大学化学生命工学部 大洞グループの共同研究チームは,ジメチルホルムアミド(DMF)を反応溶媒に用いることで、保護剤添加せずとも、蛍光性(青色発光)金属クラスター(ナノ粒子)を合成できることを見出しました。本合成法(DMF還元法)は、金、銅、白金、パラジウム、酸化鉄、イリジウムの金属に適用可能であり,安定な発光特性と高い触媒能を特徴とします。
<発表論文:クラスター系>
[Au] Kawasaki et al. Langmuir 26 , 5926(2009); Yamamoto et al. Nanoscale 4 , 4148(2012)
[Pt] Kawasaki et al. Chem. Commun. 46, 3759(2010)
[Pd] Hyotanishi and Obora* et al. Chem. Commun., 47, 5750(2011)
[Cu] Isomura and Obora* et al. Chem. Commun. 48, 3784(2012)
[Review] Kawasaki, Nanotechnology Reviews 2 , 5(2013)
[FeO] Sugii et al. J, Nanoparticle Res. 15, 1379(2013)
[CuPd] Chiba and Yonezawa* et al. J. Mater. Chem. C 3, 514(2015)
[Ir] Oikawa and Obora* et al. Chem. Commun. 53, 1080(2017)
[Fe2O3] R. Azuma, and Y Obora* et al. ChemCatChem. 10, 2378 (2018)
[Cu] Kuroda et al. Colloid Interf. Sci. Commu. 31, 100187(2019)
図:Ga系液体金属触媒による水素発生
<発表論文:Ga系液体金属>
Kawasaki et al., Chem. Commun.,58, 7741(2022)
Manyuan et al. J. Colloid Interface Sci., 649,581(2023)
Manyuan et al. RSC Advances, 13, 30273(2023)
Otsuki et al. Materials Chemistry and Physics, 314, 128844(2024)