Advanced Polymer Chemistry Lab.
研究内容

研究内容

医療・環境分野を革新するスマートポリマーの創製

 生物や生体分子のように,熱や光などの外部刺激に応答してその性質を大きく変える高分子を「スマートポリマー」といいます。先端高分子化学研究室では,光や熱などの物理化学的な刺激ではなく,医療や環境に関連する特定分子を認識して応答するスマートポリマーに焦点を当てて,世界の科学および技術を革新する世界初のバイオインスパイアード材料の創製を目指しています。

 

(1) 世界初!標的分子を認識して膨潤・収縮するスマートゲルの創製と医療応用

 世界に先駆けて標的分子やタンパク質,DNAを見分けて膨潤・収縮する分子応答性ゲルの合成に成功しました。この分子応答性ゲルを利用して,新規なドラッグデリバリーシステムDDS)の開発疾病マーカー分子・環境汚染分子の検出・分離材料の設計などについて研究しています。

(2) 外部刺激により薬物放出を制御できるナノ粒子やゲルの設計と革新的DDSの開発

 pHや温度,光,生体分子などの刺激に応答して構造変化するナノ粒子やゲルを設計し,刺激に応じた薬物との相互作用や薬物の拡散性の変化により薬物放出を制御できる革新的なDDSを開発しています。

(3) 再生医療に貢献!刺激でゾル-ゲル相転移や固さが変わるスマートポリマーによる細胞制御

 pHや温度,光,生体分子に応答して形や固さが変わるスマートポリマーや,ゾルからゲルへと相転移するスマートポリマーの合成に成功しました。これらのスマートポリマーの表面や内部で細胞を培養することにより,細胞の接着や分化,周期などの制御ができ,再生医療への応用が期待できます。

(4) 新規なバイオマテリアル!スマート液晶高分子の医療応用

 体温付近で液晶-等方相転移する新規な液晶高分子の合成に成功しています。この液晶高分子を用いてDDSや診断システムに利用できる高分子ミセルや分離膜を設計し,DDSやセンサー,細胞培養に利用できる世界で類のない液晶高分子を用いたバイオマテリアルの開発を行っています。

(5) 壊れない,切れない,よく伸びる!高強度なタフゲルの開発

 従来の常識では考えられないような丈夫なゲル(タフゲル)を簡単に合成する方法を世界で初めて開発しました。様々なタフゲルの利用により,新規な関節治療やウェアラブルデバイスなどゲル材料の幅広い実用化につながると期待できます。

(6) その他

 その他,新しいコンセプトに基づく分子設計により,様々な高分子材料を合成し,医療・エネルギー・環境分野への応用研究を行っています。既に,多彩な高分子材料の創製と応用に関して発表していますので,より詳しくは業績ページにある論文を参考にしてください。(1)~(5)以外の多彩な高分子に関する研究も見つけることができます。