教員紹介


准教授

橋爪 烈

Retsu Hashizume

e-mail

rtshshzm[at]kansai-u.ac.jp
※[at]は@に変更してください。

オフィスアワー

木曜3限

専門分野

西アジア史/アラブ・イスラーム史/アラビア語写本研究

自己紹介

広島生まれで岡山育ち、大学からは東京に出て、以来人生の大半は関東で過ごしてきましたが、2023年4月に本学着任、関西という異文化世界に足を踏み入れることになりました。学部時代は東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所に所属されていた羽田亨一先生のところに週一で通い、朝から晩までペルシア語の歴史書(ラシード・アッディーン著『集史』)を読み、それ以外の時間はその歴史書を読むための予習に明け暮れるという生活を送っていました。修士課程は慶應義塾大学大学院文学研究科に所属、ここではアラビア語を学び、岩見隆先生の許でアラビア語史料を読むという、なんとも贅沢な時間を過ごしました。こののち、博士課程は東京大学大学院人文社会系研究科に進み、進学の翌年にはエジプト・アラブ共和国に留学し、ナグワ先生というアラビア語写本校訂の専門家の許で写本読解の手解きを受けました。このような具合で、「テキストを読む」というのが私の研究の根幹を成していると思っています。
研究面では、修士課程時代に出会った、ミスカワイフ著『諸民族の経験』というアラビア語史料の解読を基に書き上げたブワイフ朝初期の政権構造に関する研究を出発点として、博士論文(2009年)まではブワイフ朝を研究の中心に据えてきました。その成果は『ブワイフ朝の政権構造』として慶応義塾大学出版会(2016年)から刊行されています。博士論文以降は、アッバース朝カリフの権威や権力が如何にして生じ、どのような形で人々に影響を与えているかを解明すべく、政治思想史の分野にも関心を向け研究に取り組んできました。また前任校の所属先が薬学部であったことを契機としてアラビア語で書かれた医学書、薬学書、本草学書の調査にも取り組み、この方面での成果として、M・ウルマン著『イスラーム医学』(青土社、2022年)の翻訳書を上梓しました。

授業について

演習授業では、私の専門としているアラブ・イスラーム史の基本となる歴史書を読んでいく回と学生さんの研究発表の回を設け、進めていきます。歴史書を読む回では、テキスト読解を通して得られる歴史事実を、どのように研究へと昇華させていくかを実地で学んでいただきます。研究発表の回では、卒業論文のテーマに関する研究進捗状況の報告を行い、私や他の受講生と質疑応答する中で、自らの課題を確認してもらいます。その他担当する「ユーラシア史a」では、従来の研究が土台としてきたものとは異なる視点でイスラームの初期時代を眺めるとともに、初期史の研究史をたどる講義を行います。また「世界史専修研究III」では、歴史研究に必須の「史料」そのものに焦点を当て、どのような史料の類型があるか、またどのような歴史的事実がそれらの史料から読み取れるか、「史料批判」に必要な方法や視点は何かについて解説していきます。

メッセージ

たとえ最後の一兵卒になったとしても、私は主張し続けると思いますが、大学は学問を行うところです。したがって、私は学問に携わりたいと希望する学生の皆さんにその環境を用意し、それを守ることに力を注ぎたいと考えています。私のゼミには、この主張に賛同してくださる方が集まってくださることを期待します。