構成行動学研究室

(別称:身体心理学研究室)

Constructive Praxeology (aka. Embodied Psychology) Lab.

担当

菅村玄二 教授
Genji Sugamura (Professor)


ラボ紹介

  • 構成行動学とは,構成主義(constructivism)と行動学(身体心理学の旧称)を合わせた造語です。
  • 構成主義とは,私たちがリアリティをどのように理解しているかということを理解するための理論群です(詳細は「リアリティの心理学」を受講してください)。認知,感情,行動の三分割をせずに,全体的に捉えるところが他の心理学と大きく異なる点です。
  • 身体心理学とは,狭い意味では,表情,視線,姿勢,呼吸,接触(タッチ),筋緊張,体動といった「身体反応」を意図的に変えることで,気分や生理,認知にどのような影響を与えるかを研究する分野です。たとえば,背筋を伸ばすことで気分がシャキッとしたり,ホッと一息つくことでやる気が回復したりといったことを実験的に検証しています。
  • 加えて,本ラボでは,身体反応を「身体動作」だけでなく,「身体感覚」まで拡げて,温度感覚(熱さ・温かさ・ぬるさ・冷たさ),重覚(重さ・軽さ),触覚(手触り,食感),視覚(明暗・色彩知覚),味覚,嗅覚などについても,どのような効果があるか検討しています。たとえば,重いリュックサックを背負うと,責任感を強く感じやすいか,柔らかいイスに座ると,考え方も柔軟にやりやすいかとなど実験しています。
  • 最近は,こうした知見をピースフルに生きるヒントとして活かして,そこからゆくゆくは世界平和につなげられないかなと模索中です。

主な講義(2024年度)

  • リアリティの心理学(21年度入学生以前の旧称は「認知心理学a」):目の前にあるリアリティをどのように捉えているのか,言葉,社会,宗教などの文化的側面と,行動,進化,生物といった身体的側面から考えていきます。そこから臨床,教育,平和といった問題につなげていきます。
  • 専修横断広義(身体論):哲学,教育学,宗教学,メディア論など異なる文学部内の他専修や他学部の教員とのリレー科目です。身体と心の関係について,各専門の立場から論じていきます。金曜1限ですが,企業の方など学外から聴講している人も多くいます。

卒業論文のテーマ例

  • 身体/多感覚心理学系
    • 拍手をするほど感動が大きいか? 
    • リュックの重さが責任の重さの感じ方に与える影響 
    • 電話越しのお辞儀が自身や相手に与える効果 
    • のどの渇きが「心の乾き」に与える影響:マズローの欲求階層説を中心に
    • 「胸に手を当てる」と心理的安静が高まる
    • 触感の違いが人物評価と認知的柔軟性に及ぼす影響 
    • 地に足を着けることが精神的安定に与える効果
    • 前傾および後傾姿勢が自身の気分と注意に与える影響
    • うまそうなものを見ると「うまい話」に飛びつくか?
    • 煎餅をバリバリ食べるとやる気が出るか? 
    • 物理的重量が心理的負担に及ぼす影響 ―「気が重い」「愛情が重い」「足が重い」「腰が重い」の観点から
    • 裸足での歩行が状態不安と安心および爽快感に及ぼす影響
    • セルフタッチによる皺眉筋の弛緩が怒りと不安に及ぼす影響
    • 「頭を冷やす」ことが冷静な判断につながるのか? 感情制御と意思決定の観点から
    • 「肩身の狭い」姿勢が謝意と自責反応に与える効果
    • 近づくと遠くなり、遠くなると近づく:腕の伸曲による接近回避の逆説的効果
    • 異なる文脈でのため息が注意と動機づけに及ぼす影響
    • 首を傾げる動作が社会的信頼と意思決定及び論理的思考に与える影響
    • バタフライハグが感情とストレス反応に及ぼす効果:セルフタッチと深呼吸を組み合わせて
    • 人の不幸は蜜の味か? シャーデンフロイデが味覚に与える影響
    • ひらがなは「甘い」が,カタカナは「酸っぱい」:文字表記形態が飲料の味覚とその予測に及ぼす影響
  • 日本文化・サブカル心理学系
    • 漫才の視聴による笑いがもたらす気晴らし効果 
    • 浄土真宗の僧侶のパーソナリティと生きがい感
    • 宗教の違いは知覚推論過程及び文化的価値観に影響を与えるか:浄土真宗・天台宗・キリスト教・無宗教の比較
    • 願い事の重要度が「おもかる石」の体感重量に及ぼす影響 
    • 浄土真宗の僧侶のパーソナリティと生きがい感:職業的僧侶と宗門校の大学生と一般大学生の比較を中心に
    • マンガを読むことによるストレス低減効果 
    • 「腐女子」のパーソナリティ ―日本と中国の大学生での比較―
    • 名前の珍しさ・由来の知識とパーソナリティとの関連性
  • 健康・教育・平和心理学系
    • 反戦キャンペーン動画におけるBGMの明暗が共感や慈善活動に及ぼす影響 
    • シャイネスのポジティブな側面:謙遜と協調性および共感との関連
    • タトゥーイング行為と自傷傾向との関連性 
    • 整理整頓が時間管理と感情の整理へ及ぼす効果
    • マインドフルネスを用いた予防教育のための説明方略
    • 数息観を用いたマインドフルネス呼吸法が感動体験や笑いへの同調に与える影響
    • 通常の臨書とマインドフルな臨書が感情と脱中心化に及ぼす影響
    • コンパッション瞑想および役割固定法が援助行動・意欲に及ぼす影響 
    • 笑い飛ばすと前向きになれる―笑いの傾向と主観的幸福感,レジリエンス,根性との関連性―
  • 対人/対物心理学系
    • 日常的なノンバーバル行動の好感度とその性差 
    • 初対面の相手に対する「雰囲気」にはどのような要素があるのか
    • いちゃつくカップルを見ると「おなかいっぱい」になるか?
    • 「可愛い系男子」の身体的・行動的・性格的特徴
    • 「美人」がいれたお茶は美味しい
    • 「ただしイケメンに限る」のか? 男性の身体的魅力が許容判断に及ぼす影響
    • ロボットおよび人工知能の外見が親近感に与える影響
  • 上記はまだ整理中です。ほかにもいろいろあります。こちらからどうぞ。

修士論文

  • 加藤久美子「読書に伴う身体性が文章理解に及ぼす影響:触覚と運動感覚および視覚を中心に」(2014年度修士号取得)
  • 本元小百合「摂食行為が他者受容に及ぼす効果:身体化認知の観点から」(2014年度修士号取得)
  • 山本佑実「温度感覚が向社会性に及ぼす影響:単語一致および不一致仮説の検証」(2014年度修士号取得)
  • 福市彩乃「正座は他者にいかなる印象をもたらすか」(2019年度修士号取得)
  • 猪伏慶人「グリットの構成概念と予測因子の検討ならびにその育成プログラムの開発」(2020年度修士号取得)
  • 原鳴(Yuan Ming)「ぬいぐるみ型クッションの開発とその『抱き』と『抱かれ』の心理的効果」(2023年度修士号取得)

博士論文

  • 福市彩乃(日本学術振興会特別研究員DC1)「マインドフルネス瞑想の易実施性を促進する身体姿勢とは:ADHD傾向との関連」(2022年度博士号取得)

メンバー(2024年度)

  • 山本 佑実(関西大学 非常勤講師)
  • 福市 彩乃(立命館大学OIC総合研究機構)
  • 学部5年次生:1名
  • 学部4年次生:11名(1名休学)
  • 学部3年次生:11名(1名休学)
  • 学部2年次生(プレゼミ):未定