トライボロジーで,機械と未来を支える
機械には多くの摩擦面があり,その摩擦・摩耗・潤滑状態は,機械の性能,効率,信頼性,寿命に大きな影響を与えます.トライボロジー(Tribology)は,こうした摩擦・摩耗・潤滑に関わる現象を総合的に取り扱い,そのメカニズムの解明と制御を通じて,より高性能で信頼性の高い機械システムの実現に貢献する学術分野です.
関西大学機械設計研究室・呂研究グループでは,トライボロジーを研究の基盤として,摩擦・摩耗・潤滑に関わる界面現象の本質を解明し,分子・材料から表面・界面,さらに機械システムまでをつなぐ研究を展開しています.
メカノケミストリー,材料・潤滑,バイオミメティクス,画像解析,センシング,メカトロニクス,機械学習など,異なる分野の知識と技術を融合し,超低摩擦・低摩耗,高機能表面,潤滑機構の可視化,状態診断・予知保全,EV,真空・宇宙,半導体製造など,多様な課題に取り組んでいます.
最先端の表面・界面分析環境
本研究室では,トライボロジー研究に必要な摩擦・摩耗試験装置に加え,表面・界面現象を詳細に解析するための先端分析環境を整備しています.
特に,イノベーション創生センターの表面分析室には,TOF-SIMSやXPSをはじめとする高度な表面分析装置が設置されています.これらを活用することで,摩擦によって生じる表面の化学反応,分子・元素の分布,表面状態の変化などを詳細に分析し,マクロな摩擦・摩耗現象とナノ・分子レベルの界面現象を結び付けて研究することができます.
また,研究目的に応じて実験装置や計測システムを独自に設計・製作・改良できることも,本研究室の大きな特徴です.既存の装置を使用するだけではなく,“現象を解明するために必要な装置そのものをつくる”という発想を大切にしています.
分野を越え,自由な発想から新しい研究へ
研究において大切にしているのは,アイデアと好奇心です.研究を進める中で予想外の現象や新しい発見が得られた場合には,当初の計画にとらわれず,その現象を深く追究することを大切にしています.自由な発想から生まれる疑問が,新しい研究テーマや独創的な成果につながることがあります.
また,トライボロジーは,機械工学だけで完結する分野ではありません.材料科学,化学,物理学,表面科学,計測工学,情報科学など,多様な学問領域と深く関わっています.本研究室では,異なる専門分野の知識や研究手法を積極的に取り入れ,分野横断・融合型の研究を推進しています.
世界に発信し,社会に役立つ研究を
本研究室では,研究室全体を一つのチームとして捉え,世界トップレベルの研究成果を発信することを目標としています.研究課題の設定から実験計画,装置開発,測定・解析,考察,論文執筆,成果発表まで,一連の研究プロセスを主体的に進めます.
基礎的な摩擦・摩耗・潤滑メカニズムの解明を重視するとともに,企業との共同研究にも積極的に取り組んでいます.学術的な新規性だけでなく,実際の機械や産業が抱える課題にも向き合い,基礎研究から産業応用までをつなぐトライボロジー研究を推進しています.
研究成果は,国内外の学会,学術論文,共同研究などを通じて広く発信し,学術と産業の双方への貢献につなげています.
「自ら考え,自らつくり,自ら解決する」研究教育
教育面では,研究成果だけでなく,研究のプロセスを通じた実践的な問題解決能力の育成を重視しています.
学生は,それぞれの研究テーマに応じて,必要な実験・計測装置の設計や製作にも取り組みます.機械製図や設計,加工,計測,信号処理,データ解析など,講義で学んだ知識を実際の研究課題に適用することで,理論と実践を結び付けながら専門性を高めます.
さらに,実験結果が予想と異なる場合には,「なぜこの現象が起きたのか」「何を測定すれば原因を明らかにできるのか」「どのような実験を次に行うべきか」を自ら考えます.このプロセスを繰り返すことで,研究能力だけでなく,社会で求められる論理的思考力,創造力,実践力,問題解決力を養います.
トライボロジー研究を通じて幅広い工学的知識と責任感を身に付け,将来の科学技術と産業を支えることのできる研究者・技術者の育成を目指しています.