研究室選択を考えているみなさんへ

元気で積極性のある若者求む!

新しいモノ(価値)を創造する

 機能性高分子研究室(機能研)が目指しているのは、新しいモノ(材料、価値、概念)の創造です。新しいモノといっても、単に今まで誰も作ったことの無い化合物を合成するというだけのことではありません。機能性高分子という研究室名が示すように、何かの働き(役に立つ機能)を持ち、人間社会に貢献するようにあらかじめデザインされた分子(高分子)や材料(システム)を生み出し、それが実際に働く(機能する)ことを証明し、広く世界に向けてアピールすることを目指しています。


広範な知識・技術を吸収できる研究分野

 機能研が取り扱っているのは、医療やバイオテクノロジー、ナノテクノロジーの分野での活躍が期待される材料であり、境界領域的性質の強い研究分野です。研究を進めていく上では、高分子化学や高分子合成の知識だけではなく、生化学、医学、医工学、有機合成化学、物理化学、光化学、高分子物理学、分析化学、界面化学、時には薬学、生理学、分子生物学、細胞生物学etc.にいたる広い範囲の知識が必要になることもあります。「今、自分はそのような知識を持ち合わせていない」と心配することはありません。皆さんの先輩も同じだったわけですから。むしろ、「機能研に来れば、そのような色々な領域の知識と技術を吸収できる」環境がある、と前向きに考える人が来てくれることを望んでいます。
 でも、知識だけで研究ができるわけではありません。大切なのは、研究を遂行するための柔軟な「思考力」と、達成したいという強い「情熱」です。我々は、3年生までの学業成績と研究能力が必ずしも一致しないことをしばしば経験しています。研究室へ入ってきてから、水を得た魚のようにメキメキと実験・研究で頭角をあらわす人もいます。紙の上での勉強の成績よりも、むしろ、好奇心旺盛で色んなことに積極的にチャレンジできるスピリットを持っていることの方が重要です。


世界の舞台に立てる,やりがいのある研究生活を

現実には、研究(実験)というのは失敗と挫折の連続ですが、その中から苦労して、新しい価値や役に立つ材料を生み出したときの「達成感=喜び」は他の何にも代え難いものがあります。諸君らは、化学のプロ(企業の研究者、大学の教官)として生きていくことを期待されています。私達は、プロスポーツ選手と同じように、化学で世界中の研究者を相手に鎬を削っています。1-3年生の基礎トレーニングを経て、4年生、大学院生と進むことは、まるでスポーツで、地域大会、全国大会、国際試合へと進む過程のようです。
当研究室の研究業績のページを見てください。たくさんの先輩達が英語の論文を執筆・発表していることが分かるでしょう。この他にも、国内・海外の学会で研究発表を毎年何十件もしています。これらの先輩達も3年生の時には、今の諸君らと同じように悩み、自分の力に自信が持てないでいたはずなのです。機能研の研究分野に興味があって、自分の可能性を伸ばしたいという情熱があり、新しい価値を自らの手で創造して世界の研究者の前でその成果を発表してみたいという積極性と元気のある人は、是非、機能研の扉を叩いてみてください。

ご質問は大矢裕一まで

よくある質問

Q1 : 研究テーマはどのように決定し、どのように進めるのですか?

Q2 : 研究室のスケジュールを教えてください

Q3 : 卒研指導は厳しいのですか?

Q4 : 他大学の大学院を受験することはできるのですか?

Q5 : 〇〇関係(業種)の会社に就職を希望しているのですが・・・

Q6 : 英語や生物が出来ないと困るのでしょうか?

Q7 : 他にも質問があるのですが・・・


研究テーマはどのように決定し、どのように進めるのですか?

研究テーマは、研究室が目指している領域の研究に絞られ、学生諸君の発案した全く独自の(研究室方針と異なる)ものになることはありません。その年度に、研究室がどういった方向に研究を展開していくかでテーマが決まります。ある程度の希望は聞きますが、全ての人の希望を受け入れることは難しいので、最終的には、学生諸君の個性(知識・興味の領域、器用である、合成が上手い、根気がある)などを考慮して教員が判断し決定します。
 4年生のうちは基本的には、指導院生がサポートしながら研究を進めていきます。テーマの方向は与えられますが、テーマの枠内での研究の進め方については学生諸君の意見をできるだけ尊重するようにしています(問題解決能力を身に付けてもらうため)。もちろん研究は生き物ですから、予期しない(面白い、変わった)現象が出てくることもしばしばで、そんなときには研究テーマの方向が大きく変わることもあります。具体的な研究テーマについては該当ページを参照してください。

≪研究テーマはこちら


研究室のスケジュールを教えてください。

1日、一週間、1年のそれぞれについて説明します。研究室に配属されると、基本的に朝から夜(20:00過ぎ)まで、研究室で活動(実験・研究)することになります。
 一週間の行事としては、金または土曜に週報を行い、研究の進捗状況とその後の実験計画について、教員やメンバーとともにディスカッションします。火曜日は雑誌会があり、当番(2名)が最新の興味ある論文の内容を紹介します。その他、4年生配属後のしばらくの間学生だけで行なっている行事として、輪読(本を決めて皆で精読する)があります。
 また月に1回、知能分子学研究室と合同で研究の進捗状況とその後の実験計画について発表します。

【1年の主な行事スケジュールは以下の通りです】

8月夏季中間発表会/ゼミ旅行/夏休み
11月卒論発表練習会/新歓コンパ兼宿泊セミナー(新3年生向け研究ガイダンス)
12月冬期中間発表会/冬休み
2月修士論文/卒業論文発表

卒研指導は厳しいのですか?

特に他の研究室と違っているとは思いません。どの研究室でも基本的には同じ基準で特別研究の単位を出しています。上記の1日のスケジュールも学部学生から見ると長いように思えるかもしれませんが、研究生活に慣れメンバーと打ち解けると、それくらいの時間大学に留まることは何でもないようになっています(むしろ家に帰るのが面倒になる?)。
 せっかく大学生になったのですから、大学で「何かをやった」「何かを身につけた」と胸を張れるよう、1つのことに一生懸命に打ち込む時期があって良いのではないでしょうか? 世界に通用する(価値があると認知される)研究をするのには、多少の困難さを伴なうのは当然のことですが、それは厳しさ(辛さ)ではなく、むしろ楽しい(やりがいのある)ことではないでしょうか?


他大学の大学院を受験することはできるのですか?

基本的に大学院を受験するのは個人の自由ですから、他大学受験を制限されることはありません(関大大学院への推薦の資格はなくなりますが)。でも、ちょっと待ってください。皆さんが大学を選ぶときには偏差値や知名度(ブランド)で大学を選んだかもしれませんが、大学院へ進学する時には、どんな研究がしたいかで選ぶべきです。「どうしても○○大学の××先生の研究室で研究がしたい」といった積極的な理由がある場合は別として、まずどこかの研究室に配属して、その研究室および他の(学内外の)研究室の研究内容をよく理解した上で、その魅力についてじっくり考えてみることをお勧めします。


〇〇関係(業種)の会社に就職を希望しているのですが・・・。

機能研を希望する人で多いのは「○○=製薬」というケースです。確かに機能研の卒業生(正確には大学院修了生)には製薬会社に研究職として就職した人が何人かいます。しかし、現実の就職戦線は、ドラッグ・デリバリーの研究をしている研究室の出身だから製薬会社が採用してくれるといったような次元の話ではありません。むしろ、会社では学生時代とは全く異なる研究に従事するようになることが少なくありません。
 「何の研究をしてきたか」ではなく、「どのように研究を遂行してきたか」「個々人がどれだけの実力(問題解決能力や研究開発のポテンシャル)を身に付けてきたか」が就職試験で(あるいは会社へ入ってから)最も重視されますので、他の研究室に比べて(医薬関係への就職に)特に有利であるということはありません。他の業種にしても同じことです。


英語や生物が出来ないと困るのでしょうか?

率直に言えば、英語が全く出来ないとなると困ります。研究発表は国際学会では、英語で行なわれますし、化学の世界では原著論文は英語で書くのが常識です。4年生の間に学会・論文発表をすることは殆どありませんが、卒業研究を進めていく上で、他の研究者の実験方法を参考にしたり、その分野の研究動向をチェックしたりする必要がありますが、それには英語の論文を読まなくてはなりません。そのため、化学英語(英語IV)という授業が必修なのです。研究室へ入ってからも雑誌会という形で英語の論文内容を説明する勉強会をしていますし、外国人研究者による講演会もしばしば行なわれています。ただし、それほど心配することはありません。皆さんの先輩達も3年生の時点では、今の皆さんと同程度の英語力であったのです。我々(教員)もいまだに困っています(笑)。今まで真剣に英語と取り組む機会が少なかっただけのことでしょうから、研究室に入ってから頑張っても十分間に合います。
また、生物については心配することはありません。高校生の時に生物を選択していなくても、バイオ分子コースには基礎からのバイオ系の授業が組み込まれています。また、バイオコースでなくても生物という科目は、体系的な物理や化学と違って、「自分の関係するところから始めて広げる」ことのできる科目であり、独学で専門家に追いつける学問です。かく言う私(大矢)も工学部化学系の学科だったので、生物・医学に関連する授業は受けておらず、4年生以後研究室に入ってから独学で習得しました。


他にも質問があるのですが・・・。

是非、直接質問に来て下さい。E-mailでも結構ですが、実際に教員や研究室を訪問してください。大矢の部屋も研究室(本研)も研究棟1Fです。