老松場古墳群

老松場(ろうしょうば)古墳群は、長野県伊那市東春近中組に所在する古墳群です。『伊那市史』によると、古墳群は7基の古墳からなり、6世紀半ばから8世紀初頭頃にかけて営まれたとされています。
 このうち1号墳は双円墳であるという見方もされていましたが、伊那市教育委員会指導のもと、平成27 年に行われた東春近小学校の生徒たちによる測量調査によって、前方後円墳もしくは前方後方墳である可能性が確認されました。
 以上のような経緯を受けて平成29年度の第1次調査では、1号墳と7号墳、および周辺地形の測量調査を行いました。
 昨年度の調査で、1号墳は全長約30メートルの前方後円墳、7号墳は短径が約20メートル、長径が約22メートルの円墳である可能性を確認しました。1号墳の築造年代については、これまで6世紀半ば以降とされていましたが、墳丘測量図を検討した結果、5世紀初頭まで遡さかのぼることは確実となりました。また、7号墳は伊那市域における円墳の中では最大級のものです。
 1・7号墳の周辺地形の測量調査を行うなかで、2・3号墳についてもその位置や墳形、規模を確認することができました。その結果、2号墳は直径約15メートル、3号墳は直径約10メートル規模の円墳であることがわかりました。
 今年度以降の調査では、1・7号墳の詳細な墳形や規模、構造を確認するために発掘調査を行うとともに、残り3基(4・5・6号墳)の正確な墳形及び規模を確認するための測量調査も行う予定です。