岩﨑泰彦教授 日本バイオマテリアル学会賞(科学)を受賞

岩﨑泰彦教授は双性イオン型リン脂質ポリマーを基軸としたバイオマテリアル研究に着手して以来、生体分子に想起されたリン含有ポリマーのバイオマテリアル利用に関する研究を遂行してきました。

高度な防御機構を備えた生体と接触するバイオマテリアルを設計する上で、生体分子の構造に倣い分子設計することの有効性を双性イオン型ポリマーにより実証し、核酸の主鎖構造に着目した新たな分解性ポリマー、ポリリン酸エステル(PPE)の研究に着手しました。2010年に世界に先駆けて報告したPPEの精密重合法は、現在世界で展開されているほぼ全てのPPE研究に採用されています。また、溶解性、熱特性、温度応答性など、従来の分解性ポリマーと異なるPPEのユニークな物性に関する多くの知見を得ました。さらに、ある種のPPEが高いミネラル親和性を示すことから、ここ数年、PPEを骨治療薬に繋げる試みを進め、PPEが骨系細胞の分化に影響を与えることや、動物実験においてPPEが骨に集積することも明らかにしました。

以上のようなリン酸エステル系ポリマーを基軸としたに関する研究成果が評価され、日本バイオマテリアル学会から、日本バイオマテリアル学会賞(科学)が授与されました。