修了生の声 vol.3

企業税務コンサルタント
和田 瑠璃子さん
PwC税理士法人
大学院に進学した理由を教えてください。
税理士資格の取得を目指していたことがきっかけです。税理士試験の税法科目について、修士論文による免除制度があることを知り、大学院での租税法の研究に興味を持ちました。当時の私にとって大学院は未知の世界でしたが、顧客に役立つ専門的職業人としての自分の将来を考える中で、単に資格取得を目的とするだけでなく、学術的な観点から専門的な知識を深めることで、広い視野や将来的に必要な力を養うことができるのではないかと考え、挑戦してみようと進学を決意しました。
関西大学大学院商学研究科を選んだ理由を教えてください。
HPを拝見する中で学習環境が整っているという印象を持ったからです。特に私の入学時期である2022年4月からTASプログラムが開始されるという案内を見つけたときは、直感的にこれだと感じました。また、商学部出身であったため、法学よりも商学に馴染みやすかったという点のほか、実務的な視点を取り入れた授業が行われているという点にも魅力を感じました。
大学院での研究テーマとその概要を教えてください。
研究テーマは、「離婚に伴う財産移転における課税関係の検討」です。養育費の未払いが問題視されている社会情勢に対して税制が何か対応できないものか、という観点から研究をはじめました。離婚に伴う財産分与等の財産移転について、性質ごとに課税関係を精緻化した上で、特に離婚後の「扶養」に着目し、取得者側と移転者側の所得税法上の問題とあるべき課税関係を検討しました。
大学院で研究を進める上で楽しかったことは何ですか。
研究では、先行研究を踏まえたうえで、問題を提起し、自分なりの見解を導くことが求められます。研究テーマを見つけることは簡単ではなく、入学当初はとても苦労したことを覚えています。しかし、試行錯誤を重ねる中で少しずつ理解が深まり、難解な論文の内容を理解できるようになったときや、自分の書きたい論文の道筋が見えてきたときなどは、成長を感じられて楽しいと感じました。また、研究テーマに関する多くの文献にあたる中で、租税法のあるべき理論と課税実務上の取り扱いの接点をさぐるような感覚があり、試験勉強だけでは得られない研究ならではの興味深い経験をすることができました。
関西大学大学院商学研究科に進学してよかったこと、身についたことは何ですか。
租税法の専門知識や研究を行うために必要なスキルを身につけられたことはもちろんですが、普段の授業での発表機会を通じて、自分の表現力を養う練習を多く積めたと感じます。また、研究科を超えた成果発表の機会も多く、他者の研究を通して知識の幅を広げることができた点や同じ業界を志す仲間に多く出会えた点がとてもよかったです。
大学院での研究が、現在の仕事にどのように活かされていますか。
現在は、国際税務を取り扱う税理士法人に勤務しており、企業の申告業務やコンサルティング業務などを担当しています。英語でのクライアント対応も業務の一環として求められ、大学院時代に英語論文に取り組んだ経験が役立っています。また、国際課税は研究テーマではなかったものの、大学院1年目の授業で学んだことのある知識が実際の現場で使われていることを目の当たりにしてより理解が深まった体験もあり、実践的な知識を学べる環境にいたことを改めて実感しました。他にも、仕事では日々新しい課題に直面することも多く、問題に諦めずに取り組む姿勢や、一つ一つ向き合い乗り越える力は、大学院時代に培ったものと通じる部分があると感じています。
大学院進学のために、どのような受験対策や事前準備をされましたか。
特に、出身学部と大学院での専門分野が異なっている場合、特にどのような点に注意して受験準備をしましたか。
進学を決めてから入試までの期間があまりなかったため、大きな受験対策や準備といったものは行えませんでした。会計学や税制論の試験問題については、大学時代に会計を専攻していたことや、税理士試験の勉強を少し進めていたこともあって、それらの知識で対応する形になりました。一方で、研究計画書の作成にあたっては、租税法の論文の書き方に関する書籍を読み、大学院での研究に必要な基礎知識や論文執筆の進め方について学びを深めた上で取り組みました。今振り返れば、入学前に基礎的な書物を多く読み込めていれば、租税法の体系的な知識をより確実に身につけることができ、入学後の判例の授業や自分の研究をよりスムーズに進められていただろうと感じます。
TASプログラムに進学を考えている方へのメッセージをお願いします。
関西大学大学院のTASプログラムには、自分次第でいくらでも充実した学びを得られる環境が整っています。進学することで専門知識や研究スキルだけでなく、将来同じ業界で働く貴重な仲間にきっと出会えることと思います。大学院での日々を通じてそれまでの自分にはなかった新たな視点を得ることができ、人生を豊かにする大きな機会となるはずです。少しでも迷っている方はぜひ挑戦してみてください。1期生として自信をもっておすすめさせていただきます。いつの日か同じTAS出身者としてお話できたら嬉しいです。